名前は見かけながら、はじめて読む作家さん。医療関係の作品を出してるなと思い、敬遠していたが。
これはひと味違う医療小説。
東京郊外にある古いクリニック、今は総合病院として、評判がいい大病院。
その敷地内に残る古い家屋には、総合内科というこじんまりとした看板が。
グレーの膝たけパンツをはいた医師青島倫太郎と、オレンジのナース服で元気なミカだけで、患者も一日一人いるかどうかの診療所。
総合内科とは、患者や家族の話を聞き、病気のことをしっかり説明し、どんな治療をしたらいいかを相談できる場所だった。
現理事長で院長の柳司が、大学病院に勤務していた兄を呼び、内科部長を依頼したものの、断って、そんな部署が欲しいといっても聞き入れてもらえず、寂れた空き家で始めた独立したクリニック。
そんな倫太郎のクリニックには、口づてで、わずかだが患者が訪れてくる。
八十台になり、都内で一人畑仕事をする老人。最近相次いで事故をおこし、免許証返納と畑売却を子供らに迫られ、関係がぎくしゃくしていた。そんな老人に倫太郎はいかに診断したか?
和菓子屋の女将が若いイケメンから購入する高額なサプリにはまる。心配した娘たちから相談を受けた倫太郎。女将には秘められた過去があった。
医師のセクハラを訴え、辞職を覚悟したナースのミカは倫太郎にひろわれ、給料は安いが、今は自由にのびのびと仕事ができる。
若いセレブと知り合い、結婚間近な女性は、密かに相手の肥満の遺伝子を調べようとして、自身も以前に調べられたようだと気付き、互いに疑心暗鬼となる。倫太郎はそんな二人に、遺伝子検査の実態を知らせ、それにより、やり直すきっかけを与える。
配置転換により落ち込む若者は、高血圧を気にせず、ストレスまみれで働いていたが、倫太郎に話を聞き、考えを改める。それが転機のきっかけになる。
最後の話は、院長の娘のアトピー性皮膚炎。なかなかなおらないのを気にして、民間療法にのめり込む母親。それがもとで、その団体と悶着となる院長。これが自分をアピールするチャンスとはりきり、民間療法の欺瞞を暴く倫太郎。騒ぎは収まったが、院長は総合内科を認めようとはしない。
はてさて、倫太郎のクリニックは弟の病院に認められ、病院内の科に昇格できるのやら?
続編があるかどうか知らないが、倫太郎のコロナへの見立てを聞いてみたい気もするが?