最初は取っつきにくくて、読みが進まなかったが、あとは一気に読めた。なかなか面白かった。

主人公は公正取引委員会で、審査官をしている白熊楓。

警官だった父親の影響で、空手をしていた体育系。警察学校在学中に、父親が同僚の交番警官を射殺した犯人を逮捕するも、足に障害を受け、デスクワークに回されたのをきっかけに警官をやめ、バイトで警備員や夜間工事に勤務している。母親に愚痴られて、楓も危険な警察官になることをあきらめて、審査官になった。

市場の公平さを守るために、事業者たちによるカルテルや談合を取り締まる役所だが、人気も知名度も低く、捜査のための権力もない。特定の業種に肩入れすることがないために、癒着もない。その分、他の省庁との関係も薄く、いつも煮え湯を飲まされる弱い立場にある。

そんな楓が担当した北関東のカルテル事件で、市職員から事情聴取に成功した直後に、自殺されてしまう。

そのために、楓は尊敬する上司から別のグループに配置転換される。折しもキャリアで年下の小勝負が、入ってきて、コンビを組んで内定をすることになる。

彼らが担当することになったのが、栃木県にある市のホテル三社によるカルテル。ウェデイング費用を協定して、値上げ額を取り決めていた。他の地域に比べて、何割か高めに設定されていた。

公正取引委員会の調査は秘密に行われ、立入検査で山を迎える。ある日突然に、一斉に調査対象の全事業所に立ち入って、証拠品を押収して立件する。

その日までに密かに内定するのが審議官たちの務め。

そんな楓は、内偵中に、殺人未遂事件に出くわし、犯人逮捕に協力してしまい、正体が調査対象にばれてしまい、あるホテルだけ、立入検査を拒否されて、調査が頓挫する。

ついで、ホテルによる納入業者いじめ。しかし、これも立入検査を拒否されては、調査が進まない。

代わりに、ホテルに納入している花屋たちのカルテル調査に切りかえる。新規参入社を閉め出す取引制限の調査。

小さな案件から調査を成功させて行き、ついに、立入検査を拒否したホテルへの立入検査を成功させるまでの、楓と小勝負の活躍を描いている。

それと平行して、楓と大学空手部の先輩で恋人だった男との仲の進展が描かれるが、こちらはうまくいかないが、結果的にはよかったか。

ラスト、楓が九州に転勤するのを送る送別会が描かれ、前の月に楓が差し出した義理チョコのお返しをもらい、泣き出してしまう楓が描かれる。

晴天が続いたが、明日は全国的に雨らしい。


仕事帰り、市立図書館分館へ。

二冊返却して、新たにまた二冊借りる。

今日借りた本


小松亜由美

「誰そ彼の殺人」

幻冬社、2019


首藤瓜於

「アガタ」

講談社、202307


倒叙ミステリーの福家警部補シリーズ第五作。

今回は四つの殺人事件を扱う。

院長の娘と結婚して、地位を得た医師が、浮気相手に結婚を迫られ、殺してしまう。周到に準備して、事故死に見せかけたつもりだったが、小さな違和感を取っ掛かりに、推理を働かせる福家警部補にはかなわなかった。第一作。


ソーラーパネル製作を目指していたベンチャー企業の社長は、密かに妻をなきものにしようと、屋根の上のソーラーパネルの実験データーを計るために、取り付けた手すりに細工をしようとした。留守の時に計測する妻が事故死するようにと。ところがどっこい、夫の企みに気づいた妻が、先に細工をしていたために、夫は転落死。事故に見えたが、福家警部補の目は欺けなかった。第二作。


一人で酒場を切り回す女バーテンダーは、世話になった師匠の晩年の様子から、名誉を奪いそうな恐喝を受け、その男を殺すことに。すぐに眠り込む馴染み客を利用して、アリバイを作ったものの、福家警部補にはばれていた。第三作。


恋人が上司のパラハラやライバルの陰謀で、自殺に追い込まれた。彼らに復習すべく、数年かけて練り上げた殺人計画。一人目を殺し、新幹線で、京都にいる他の二人を殺しに行こうとしていた犯人は、同じく京都に向かう福家警部補と相席になってしまう。福家警部補は、最初から彼を犯人と思い、東京の同僚の助けで、データーを集め、犯人相手に推理を披露し、追い詰めていく。名古屋では芝居をうって、犯人に自供させてしまう。なんとも見事だが、少しできすぎかな、とも思われる。