警察とテレビ局報道部の双方による東京都西部で起きた連続放火事件、埼玉県で起きた連続路上強盗事件の調査は、意外な犯人をあぶり出すことになる。

警視庁刑事部分析捜査三係の渡瀬敦子警部と、中学時代の同級生で、東都放送報道局の土方玲衣。

監視カメラの画像とプロファイリングにより捜査を進めるも、次の発生予測を外して、周囲の反発を買っていた敦子。

部下のミスで異動となったものの、ミスの処理で上司に借りを作った玲衣。敦子の捜査を看板番組で取り上げて、もとの部署への復帰を企てる、その過程で、二つの連続事件に取材を始めた玲衣は、得た情報を敦子と共有することで、捜査に関わっていく。

どちらもプロの犯行だと思われていたが、その後敦子はカムフラージュではないかという疑念を抱く。殺したい人物が複数いて、彼らを無関係に殺すために、二つの連続事件をしているのでは?

双方の被害者たちを調べていくと、一見共通点はないものの、みな実家がすでにないことや謎の空白期間があることなど、いくつかの共通項が見つかり、さらに突き詰めていくと、どうやらみな中国からの密入国者らしいとわかる。最近その一人が幸運を引き当て、身元がばれるのを防ぐために、仲間を殺しているらしい。

折しも政府与党が解散総選挙と重なる。テレビの報道局もその速報に人員をとられるなか、敦子はエックスデイを選挙と重ねることで、一気にかたをつけようとするが…。

最初はあまり気分が乗らなかったが、途中から一気に最後まで読めた。結末は首謀者の自殺、その動機となった人物への捜査は打ちきりとなり、多少不満も残るが、本人に自覚ないのに、それ以上突っ込むのも不幸を呼ぶだけかもしれないな。

著者はテレビ番組製作に携わる傍ら、ミステリーを書き、高い評価を受けているらしい。もう一作くらいは読んでみようか。

東京バンドワゴンシリーズ第18作。

東京のとある下町にある明治時代から続く古本屋、東京バンドワゴン。

大家族で同居し、古本屋とカフェを経営する堀田家には、家族の友人知人が集まり、いろんな事件を経ては、誰もがファミリーの一員とも言える仲になっていく。彼らを結ぶ絆は愛なんだろうな。

今回も四季に起こる様々な出来事や謎解き、事件に向かい、家族がそれぞれに立ち向かい、新たな絆を生んでいくハートウォーミングな物語。

誰もが少しづつ年を取り、体調や気持ちが少しづつ変わって、新たな道を見つけたり、別れがあり、出会いがあり、再会がある。

三代目店主の勘一は89歳となり、ひ孫のかんなと鈴花は小学三年生になる。

勘一の孫娘藍子は、夫の実家のイギリスに暮らしていたが、姑の死を契機に、夫のマードックと日本に戻ってきた。

勘一の息子で、伝説のロッカー我南人の浮気相手だった女優の百合枝は、引退後堀田ファミリーとして、暮らしてきたが、老人ホームに暮らす勘一の妹分的なかずみと、余生を暮らす決意をして、堀田家から出ていく。

何でも器用にこなすイケメンの勘一の孫青は、今回のラストで、古本屋のとなりの、元銭湯を買取り、様々な芸術を教える塾を開く決意をする。今までは堀田家の裏方ばかりで、自分の立場に負い目を感じていたらしい。堀田家には様々な芸術家が出入りしてる。藍子夫婦のような世界を渡る絵描きもいれば、青の兄である紺という小説家もいる。父親の我南人や紺の息子の研人のようなプロミュージシャンもいる。古本屋の堀田家は当然文学にも明るい。それらを子供たちに見せ、教えて、いつかは世界に羽ばたく才能を作るクリエイタービレッジのようなものを作ろう、青はそう考えた。

シリーズがまだ続くかどうかわかるないが、ここで終わってもいいかなと思った今作だった。

金庸と並び称される武侠小説家、古龍の代表作をようやく読了。

前に読みかけたときは、途中でやめたが、今回は一気に最後まで読んでしまった。面白いし、やはり主人公の魅力にはまる作品だな。

金庸の代表作はたいてい時代背景が明らかだし、政治的な出来事がでてくるが、こちらはその辺は曖昧で、でたらめともいえるが、それでも楽しめてしまう。

飛刀の腕前は天下一品で、百発百中の李尋歓。そんな彼を打ち負かそうと挑んでくる武人たち。偶然であい、親友となった剣客阿飛、一見無情な彼が、美女に惑い、一時は骨抜きにされてしまう。

一方、幼馴染みでいとこの娘を、親友になった友人に譲ったくせに、その後悔からか、いつまでも忘れられず、事件に巻き込まれそうだと知ると、ほっとけない李尋歓。男としてはわかるね、こんな気持ちは。

どんな苦境に落ちても、最後には伝家の宝刀、飛刀で決着をつけてしまう李尋歓は、とにかくカッコいい。

古龍の作品は他にも邦訳があるのだろうか?図書館にはないかもしれないな。