雑誌社の記者に落ちぶれた松田は、読者からの投稿を元に心霊現象の取材をおこなうことに。東京、下北沢のある踏切で、女性の幽霊がでて、列車が飛び込み事故かと何度も緊急停止していた。投稿者がとったビデオにも写真にもそれが写っていた。
人身事故はほとんど起こったことのない、その踏切で以前に殺害された女性の遺体が発見されたことがあると、聞き出した松田は、その被害者女性について調べ始める。元は全国紙の社会部記者だった松田。最愛の妻を病で亡くし、仕事への意欲を失っていた。昔馴染みに誘われて、女性雑誌の契約記者になっていた。
女性が刺された現場は、踏切の近くにあるバラックの空き家で、そこで、なぜか正体をなくしたチンピラがいて、犯人とわかり、逮捕された。
しかし、なぜか被害女性のことがよくわからない。近くのキャバクラで働いていたことはわかったものの、本名や本籍がどこかは、誰も知らない。
不思議だったのは、瀕死の女性がなぜ踏切まで歩いていったのか?
まさか刺殺された女性が立ち上がって、歩き出すのを見た犯人は、ショックで動けなくなり、現場で放心していたのか?
松田の自宅に深夜かかってくる無言電話。奇妙な音が聞こえる。死者の声か?
踏切で松田もまた幽霊らしき女性を見かける。
被害女性が気になった松田は、彼女の過去を調べていく。
そして、大物政治家の愛人として提供され、暴力団のフロント企業との癒着が暴かれそうになると、殺されることになった不幸な女性への思いがつのる。まるで亡き妻と同じような思いなのか?
彼女の元同僚のキャバ孃からのヒントから、ついに彼女の故郷を突き止め、訪ねていった松田は、彼女の不幸な生い立ちを知ることになる。笑いを知らない人生。彼女は何のために生まれてきたのか?
大物政治家にインタビューに行き、思わず殴り付けてしまった松田は逮捕されるも、すぐに釈放される。彼が帰ったあと、彼女の死亡時刻に、政治家も急死したらしい。彼女に取り殺されたのか?
結局、松田は彼女の不幸な一生を記事にすることもなく、心霊現象もあまりに現実的すぎて没になる。
松田は記者をやめる。殺害現場を訪れた松田は、彼女の気配がなくなるのを実感する。あの世に旅だったのか?
なぜ死んでから彼女が踏切に向かったのか?故郷に待つ母親に向かう列車が、その踏切を通るからだったのか?
なんとも不思議な話だが、それにしても悲惨な人生を歩んだ女性が哀れだな。