「涼、音のアトリエ、最近行ったか?」
「え?アトリエって?音の道具置き場じゃないの?」
(まあ、そうなるわな。俺だって初めてだったんだから・・・)
不機嫌な涼には構ってられない風は、穏やかに、何でもない事のように伝えた。
「和音な、兄貴の子供だった。」
「へ~そう。・・・・・・エエ~?」
一度は何でもない事のように返事をして、言葉の重さに気づいた涼の反応が面白い。
(まあ、そうなるわな。におわされてた俺だってビックリしたから。)
「何言った?冗談か!いきなりすぎんだろ!!」
「そうなんだが、子供なんだ。スズが言った。」
それからは、ひたすら鈴の語った事を伝えた。
「僕はね、風くんと涼ちゃんが大好きだよ。父さんと母さんの分も愛してきたつもり。
でもね、お互い離れて生活するようになって思ったんだ。
和音はね、僕の子だよ・・・・・いや、僕と音の子だよ。」
そうだろうと思っていたが、驚かないわけがない。
言いたい事は沢山あるけど、まずは話を聞く事にした。
「僕はね、兄さんだけど、父さんと母さんにもなりたかったんだ。
でも、思ってるだけで出来てる自信がない。
どうあっても、兄弟の情しかかけてあげられない。
それだけじゃ風くんと涼ちゃんには物足りなかったんじゃなかったのかってね。
風くんにも涼ちゃんにも自分の世界が出来て、外に目を向けてる事が嬉しかった。
でも、その反面、寂しくもあった。全寮制の学校行ったり、一人暮らし始めたり・・・
ああ、もう一緒に住む事もないんだろうな~って思うとね、
僕には何もなくなった気がしたんだ。
それにね、僕は父さんと母さんのぬくもりを知っている。
でも、風くんと涼ちゃんはどうなんだろう。覚えてはいないだろ?
自分たちの知らない事を知ってる僕を恨んでるんじゃないかって不安になった。
親の愛情もぬくもりも僕ではあげられない。それで、苦しくなった。
僕も考えたんだ。考えて、僕が親の立場になって子供を愛でれば
その姿は2人に良い刺激になると思ったんだ。
将来の風くんと涼ちゃんの見本に僕がなれないかなともね・・・・・
ただ、僕だけでは親にはなれない、子供は持てない。
夢と願望を音に描いてもらった。理想とする子供の姿、家族の姿を、それがあの絵なんだ。」
鈴は懐かしいように、遠い眼をして語っていた。
自分だけでは親にはなれない、そう言った時に少し前にいつも傍らに居た人を思い出した。
微かにその人の名を呟こうとした時に穏やかな口調と違う、強い視線を感じた。
触れてはならない過去なんだと、目顔で音にたしなめられたから、尋ねる事は出来なかった。
3人を描いた絵はいつも穏やかで、笑顔で幸福にあふれていた。
銀のスプーンを小さな手に握り、陽だまりで寄り添う2人に抱かれた産れて間もない子。
雨上がりなのか、雲の切れ間から光がさし、その光を集めるように手を伸ばすポンチョを着た子に並んで微笑む大人2人。
本当に幸せな家族の姿ばかりだ。
そこに、どれだけの思いが込められているのかは、語る鈴の表情で嫌というほど感じてしまった。
「ただ、まさか形になるなんて思ってなかった。本当にこの手で抱けるとは思ってなかったよ。
自分の自覚以上に寂しがってたのかもしれないね。
でもね、どんな理由でも凄くうれしかった。親としての責任を持とうと思った。
ねえ、風くん、和音を受け入れてくれないかな?
兄弟でしかなかったけど、家族になってもらえないかな?
そして、親としての姿や子供への愛情を感じ取ってくれないかな?
父さんと母さんを亡くして、自分たちのような寂しさを与えるかもしれないと
思うよりも、大事何かを欲する気持ちを強く持ってもらいたい。
だから、とりあえずは僕たちは家族になろう。
2人が自分の家族を持つまで、家族一緒にしばらく暮したい。」
そう語り、しばらくの沈黙を迎えた。
時計が刻む音だけが部屋に響いていて、時間は過ぎていった。
「え?アトリエって?音の道具置き場じゃないの?」
(まあ、そうなるわな。俺だって初めてだったんだから・・・)
不機嫌な涼には構ってられない風は、穏やかに、何でもない事のように伝えた。
「和音な、兄貴の子供だった。」
「へ~そう。・・・・・・エエ~?」
一度は何でもない事のように返事をして、言葉の重さに気づいた涼の反応が面白い。
(まあ、そうなるわな。におわされてた俺だってビックリしたから。)
「何言った?冗談か!いきなりすぎんだろ!!」
「そうなんだが、子供なんだ。スズが言った。」
それからは、ひたすら鈴の語った事を伝えた。
「僕はね、風くんと涼ちゃんが大好きだよ。父さんと母さんの分も愛してきたつもり。
でもね、お互い離れて生活するようになって思ったんだ。
和音はね、僕の子だよ・・・・・いや、僕と音の子だよ。」
そうだろうと思っていたが、驚かないわけがない。
言いたい事は沢山あるけど、まずは話を聞く事にした。
「僕はね、兄さんだけど、父さんと母さんにもなりたかったんだ。
でも、思ってるだけで出来てる自信がない。
どうあっても、兄弟の情しかかけてあげられない。
それだけじゃ風くんと涼ちゃんには物足りなかったんじゃなかったのかってね。
風くんにも涼ちゃんにも自分の世界が出来て、外に目を向けてる事が嬉しかった。
でも、その反面、寂しくもあった。全寮制の学校行ったり、一人暮らし始めたり・・・
ああ、もう一緒に住む事もないんだろうな~って思うとね、
僕には何もなくなった気がしたんだ。
それにね、僕は父さんと母さんのぬくもりを知っている。
でも、風くんと涼ちゃんはどうなんだろう。覚えてはいないだろ?
自分たちの知らない事を知ってる僕を恨んでるんじゃないかって不安になった。
親の愛情もぬくもりも僕ではあげられない。それで、苦しくなった。
僕も考えたんだ。考えて、僕が親の立場になって子供を愛でれば
その姿は2人に良い刺激になると思ったんだ。
将来の風くんと涼ちゃんの見本に僕がなれないかなともね・・・・・
ただ、僕だけでは親にはなれない、子供は持てない。
夢と願望を音に描いてもらった。理想とする子供の姿、家族の姿を、それがあの絵なんだ。」
鈴は懐かしいように、遠い眼をして語っていた。
自分だけでは親にはなれない、そう言った時に少し前にいつも傍らに居た人を思い出した。
微かにその人の名を呟こうとした時に穏やかな口調と違う、強い視線を感じた。
触れてはならない過去なんだと、目顔で音にたしなめられたから、尋ねる事は出来なかった。
3人を描いた絵はいつも穏やかで、笑顔で幸福にあふれていた。
銀のスプーンを小さな手に握り、陽だまりで寄り添う2人に抱かれた産れて間もない子。
雨上がりなのか、雲の切れ間から光がさし、その光を集めるように手を伸ばすポンチョを着た子に並んで微笑む大人2人。
本当に幸せな家族の姿ばかりだ。
そこに、どれだけの思いが込められているのかは、語る鈴の表情で嫌というほど感じてしまった。
「ただ、まさか形になるなんて思ってなかった。本当にこの手で抱けるとは思ってなかったよ。
自分の自覚以上に寂しがってたのかもしれないね。
でもね、どんな理由でも凄くうれしかった。親としての責任を持とうと思った。
ねえ、風くん、和音を受け入れてくれないかな?
兄弟でしかなかったけど、家族になってもらえないかな?
そして、親としての姿や子供への愛情を感じ取ってくれないかな?
父さんと母さんを亡くして、自分たちのような寂しさを与えるかもしれないと
思うよりも、大事何かを欲する気持ちを強く持ってもらいたい。
だから、とりあえずは僕たちは家族になろう。
2人が自分の家族を持つまで、家族一緒にしばらく暮したい。」
そう語り、しばらくの沈黙を迎えた。
時計が刻む音だけが部屋に響いていて、時間は過ぎていった。