草食系男子なんかじゃ物足りない。
やっぱりガツガツ来てくれると,
自分て結構いけるじゃん!とか,思ったり。
ねえ,どんなときに男の子になるの?
あー…意識されてないだけか。
いつもと同じ飲み。
いつもと同じ会話。
いつもと同じ…一方的な好き。
「はふ~…おなかいっぱい!!
翔君さびしいだろうけど,お手洗い行ってきます笑」
「ん(笑) いちいち報告しなくてもいんだよ?(笑) 行ってらっしゃい」
なんかいつもと違う気がする。
っていっつも思うけど,やっぱり今日も何もないんだな。
いつもはもうちょっとゆるい格好してるのに,
今日はジャケットなんだね。
それ,私のこと意識してたりとか(笑)
今日なんかあったりとか!!
…自分で考えてみじめな気持ちなる。
それでも私は,すっかり何の色もなくなったくちびるにグロスを塗る。
あなたに女と意識してほしい。
ただそれだけ。
「たろいも」
「はい,おかえりなさい。…ねえ,くち乾燥すんの?」
「へ?」
「いっつもトイレ行ったらくちに塗ってるから。」
あなたのためなんだけどね!!!!
あなたにとっては色気じゃなくて水分程度の問題なのね。
「うん,くちすぐ乾燥する(笑)グロス,セクシーでしょっ」
ってふざけて言う自分がイヤ。
「セクシーだわー(笑)
でもそれ,また『うん』って言ったら,グロスとれちゃうよ?」
「『うん』って何?」
「なんか,女の子やるしょ。『うん』みたいな」
翔君は,上下の唇をこすり合わせて口紅をのばす仕草をしていた。
「ああ!(笑)何かと思ったよ。
それやらないと真ん中に色たまっちゃうから伸ばすんだよ。」
「あぁ,そなんだ(笑) いづいのかと思った(笑) そろそろ出る?」
「いづいとか色気なさすぎでしょ!(笑) そだね,でよっか!」
ほんとに色気のない話。
いつもの公園の道を
いつもと同じように送ってもらう。
それだけでも,私は幸せだけど。
なるべく歩幅を小さくして,
少しでもあなたとの時間を長くしたい。
「てか!!今更だけど,俺ちょっと今日ちがうしょ(笑)」
「あ,やっぱなんか違ったよね。
ちょっとジャケットとか着ちゃって,なんかあったのかと思った!
イケメーン(笑)」
「男としてちょっとかっこよくしねーとと思って気合いれてさ」
「いい感じだよ!(笑)」
かっこいいよ。
ほんとに。
まあ,私に向かってもっと男っぽさだしていんだけど(笑)
「…男って意識しちゃう?(笑)」
「…え?」
「そこは,『うん』って言って欲しかったなぁ~…ってずるいね(笑)」
「え,あ……え?(笑)」
立ち止まって,
私の真正面に姿勢を正して立つ。
「ちゃんと男に見られたくて,
気合いれちゃって,俺かっこわるいね(笑)」
一気に私の体温が上がる。
のどがきゅっと締まるほど苦しくなる。
そんな目,するんだ。
「……俺のこと,男って意識したことある?」
『うん』って言ったら,
グロスとれちゃうよ?