近所の雑貨屋さんにケーキの箱を買いにきた。
ゆうこちゃんてだれだろう……
モヤモヤした気持ちが片隅にあるけど
気にしたってしょうがないんだよね。
毎年あげてるんだし、とにかくいつもみたいにつくろう!
いつもと違うのは、形だけ。
買い物が終わると、道端で雄一のお母さんに会った。
「あら、マリコちゃん!お買い物?」
「はい!」
「あのね、今日ね、
うちにすっごいかわいい子来てるから見においでー♪」
「え…?」
「雄一ベタ惚れなのよねぇ
」
私はなされるがまま、いつのまにか雄一の家の前にいた。
「ただいまー!マリコちゃん連れてきた!」
「おかえり!ゆうこちゃーん!母さんとマリコだよ」
「はーい」
パタパタと足音が聞こえてくる。
「あっマリコちゃん!はじめましてーこんにちわっ」
玄関にひょこっと顔を出したその子は、
きれいな茶色の瞳と同じ色の髪。
華奢な体は、マンガの中からでてきたみたい。
「かわいいしょー♪」
「やーゆうちゃんたら!笑。ほんと大好きー♪笑」
ゆうこちゃんがにやける雄一の腕にからんだ。
つらい。
「ホント芸能人みたい!かわいい
雄一いい子見つけたじゃーん
ごめん、用事あるから帰るね!またね、ゆうこちゃん
」
私は雄一の家を飛び出すように出て行った。
彼女じゃないよね?
…彼女 なのかな……
おばさんがあんなに女の子のこと ほめてるとこ、見たことない。
いろんな予想が浮かび、消える。 ううん。消す。
ぼーっとしながら、フォンダンショコラを焼いた。
いつのまにか目からこぼれた涙が、一粒はいってしまった。
おさななじみだから泣く必要なんてないのに。
そう。必要なんかない。
なにも求めてない。
もう2時だ…
「マリコ…起きてる?」
窓の外から声が聞こえた。
