イタイ女真奈美さんのお話しを連載しております。昨日のお話はコチラ

 

フリーターでも高スペック男子を「王子様だ!」と思ってフラれ、年収1000万円稼ぐ男と結婚したくて情弱向け笑い泣き「愛されセレブ妻教室」に行こうとしていた真奈美さん。紆余曲折あり、劇薬菊乃のコンサルを受けることに。

 

汚部屋を片付け、シェアハウスで一人暮らしをはじめました。通勤時間も短くなり、早番の仕事が終わってから婚活イベントにも参加できます。そこでであった上野と連絡先を交換して会うことに。10歳年上で知らない会社に勤務する男性でした。

 

3回目に会う時、彼の車が軽自動車でした。

初めから読みたい方はこちらどうぞ。

1第一話    2第二話    3第三話

 

今日のお話は

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5月5日の18:30に待ち合わせのコンビニの駐車場に行くと、グレイの日産デイズの中から上野が手を振っていた。

(男の人で軽自動車なんだ。でも、私だって中古のミラだし)

 

上野と会うのは3回目。男の人が3回目のデートで告白する確率が高いというのは知っていた。

 

会う前にボンヤリ考えていたことがある。

 

私ってどんな男がいいんだろう。貧乏したくないからお金持ちがいいって思っていたけど今だって一人暮らししながら借金返せているし。早苗さんみたいに「自分より偏差値低い高校出身はイヤ」とかいうのはないし、私はどんな人がいいんだろうな。

 

助手席に乗り、上野は久能海岸沿いに向かって走らせた。予約してくれたのは海が見えることで有名なイタリアンだった。女子会で来たことがあるけど、デートで来るなんて!

 

 

「田町さんはどんな人が好き?」

来ました!この質問!

 

心臓はバクバクだ。

 

「かわいいからとかだけじゃなくて、私の内面を認めてくれる人が好き」

「そっか。田町さんはもちろんかわいいと思うけど、一緒にいると楽しいししっかりしているしし、
付き合いたいって思っているんだど、どうかな。
年も離れているし、田町さんの気持ちも知りたい」

 

「嬉しいです。でも、お話しておきたいことがあるんですけど、いいですか?」

「なに?」

「借金があるんです」

「え!いくら?」

 

「あと40万円ぐらい。毎月3~5万円ぐらい返済してて」

「なんで借金あるの?」

 

「今まで別の人間になりたくて、バカやっていたんです」

 

真奈美は自分のこれまでのことを話した。上野は真剣に聞いてくれた。

「別に過去は過去だし、田町さんのこれから方が大事だよ

 

こうして、真奈美に彼氏ができた。知るほど上野は合理的な男ということが分かってきた。
「銀行が貸してくれる住宅ローン枠マックスで新築マンション買って、子どもの学費が足りなくなる人爆弾メラメラドンッを大勢見てきたから見栄にお金を使うのはバカらしい」

 

と車は軽自動車。真奈美のシェアハウスにも軽自動車でやってくる。
同じシェアハウスの住人の中には
「男で軽自動車ってあり得なくない?前の彼氏はプリウスだったよ」
というアラフォー女性もいた。

今まではこういう女性の意見に流されやすかったけれど、幸せってそういうことじゃないんだな。

 

久々に母がいる市営住宅に帰る時に、駐車場に止まっている車を見て気が付く。市営住宅入居条件に月収の上限があるはずだけれど、プリウス(200~400万)やエルグランド(約300万)が駐車場に停まっている。かつての自分もそうだったけれど、貧乏が恥ずかしくて分かりやすいブランドを買ってとりつくろおうとするのだ。

 

市営住宅に住んでいてもクレジットカードは持てるし車ぐらいならローンも組める。それで自信が持てる訳もなく、逆に生活が苦しくなるのに。

 

佳苗からまた合コンの誘いがあったけれど、彼氏ができたからと断った。佳苗は

「どこで会ったの?どんな人?」

と真っ先に聞いてくる。婚活パーティーであった40歳の会社員と伝えると、

「え、40歳。真奈美ちゃん、まだ若いのに、妥協しちゃったね。私も頑張るね」

と返信があった。

妥協って失礼なむかっ自分に会う条件を整理しただけなのにムキー

 

 

それから佳苗とは連絡をとっていない。

 

上野と夢だったディズニーランドデートも実現した。30歳の誕生日を彼氏に祝ってもらった。

真奈美さんはもうすぐ借金返済も終わる。

 

15年迷走し、ここじゃないどこかに幸せがあると思って遠くばかり見ていた。目先の欲に振り回されカンタンで楽な方法に飛びつき、時間とお金をつかい分かったことがたくさんあった。真奈美が一番学んだのは、SNSで見かけるキラキラ女子起業家や自称カリスマ講師ではなく、妻でもキャリアでもない何に所属したらいいか分からないアイデンティティ不明の女たちが、「自分が何者なのか」を誰かに教えてもらおうとして現実から逃げる姿だった。

 

「私はこういう人間だ」

それは誰かが答えを教えてくれるわけがないのに。自分で考えて、決断していくこと。

 

真奈美さんからこんなコメントをもらいました。

この時の努力を思い出し、周りの方の存在に胡坐をかかないようにこれからもがんばります。

 

(完)

ここまでお読みいただきありがとうございます。

 

真奈美さんの話は続きがあります。

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