卒業をひかえた高校3年の冬

速度超過した車と原付バイクの事故でした


意識不明の状態から覚醒

Yくんとは

在宅介護生活10年目の時に出会いました


視覚や聴覚は有ることが既に確認されて

目の前の事象に対する感情(喜怒哀楽)も表出


いわゆる植物状態という

遷延性意識障害の中でも

最小意識障害のレベルにまで

回復している状態でした


遷延性意識障害…完全に覚醒しているが、意思疎通といった精神活動が全くできず、運動反応が様々なレベルで障害されている状態


最小意識障害… 部分的に自己または周囲を認識しているという行動上の根拠が最小ではあるが確実にある状態(問いかけに反応、刺激に対する感情表現)




しかしながら


アロマケアを始める前の頃は

突然に起こる筋緊張と振戦

手の握り込み防止を入れて

3ヶ月に1回のボトックス注


ケガ防止のため

あらゆる部分にクッションが必須でした


20169月より

1回のアロマケア施術を実施


ボトックス注は徐々に中止

クッションの数も減り

身体がリラックスしている時間が増えていきました


20175

福岡の遷延性意識障害専門のリハビリ病院へ入院が決まった後もアロマケア継続へ


アロマケアを続けていた事で

緊張が少なく

関節の可動域もあったので

入院時の病院スタッフより

在宅10年過ぎた身体とは思えないとお言葉

をいただきました




月に1回アロマケアを続けて約2年後↓

専門病床でのケアにて

気管カニューレは外れ

様々なリハビリも進みました




コロナ禍で1年入院期間が延び

病院へ出入りもできず

1年アロマケアは中断


20213月退院後は再び在宅

現在月2回の施術


施術も笑顔を見せてくれては和やかに




そしてそして最近のこと


Yくん

意思表示をしてくれる事が増えました


見当識がある彼は

きっと今まで諦めることも多かったと思うのです


ーーーどうせ解ってくれない

ーーー伝わらない



福岡のリハビリ病院での生活

医師・看護・リハビリ全てのスタッフとのコミュニケーション


在宅時においては

介護ヘルパー・各種リハビリ・訪問看護


Yくんに関わる全ての人々が

彼の僅かな動きや変化を

本人の意識を現すものだと認識して

Yくん中心に動いた結果


意思表示をしても

受け止めてくれると感じ始めたのでしょう

もう一度私たちを信じて

頑張ってくれたのでしょう




野球が大好きで

部活をずっと頑張っていたYくん

ボールを握りたいと伝えてくれたそうです



日々のケアとして

ご家族には

関節の誘導の仕方を教えながら

施術を行ないます




意識障害者の脳の中では

精神活動があるかもしれない


ならば


全てのケア〜介護も医療も

当事者自身の心を

無視する訳にはいきません


反応が無くても

本人にはちゃんと伝え

意志を確認しようとするのが当然です


健常者と全く同じでは無いものの


生けるもの全て同じように生きる尊厳を保つべきです


それがさらなる生きるための機能回復を促すのです


アロマケアを行なう時。。。

遷延性意識障害のケアを行なう全ての方々が持っていてくれたらと私が思う

基本となる精神です




追記。。。参考文献


☆植物状態と最小意識障害については

こちらのリンク先へ

http://www.jimbunshoin.co.jp/rmj/ethics6.htm

美馬達哉著 

人文書院20091月コラム連載より抜粋


☆意識障害についてはこちら

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%84%8F%E8%AD%98%E9%9A%9C%E5%AE%B3

松田和郎 意識障害 脳科学辞典(2020)