朝のひと時は雨が止み、参加者は少なかったものの、白川公園ではいつものようにラジオ体操が行われた。

 

 

帰りは少し寄り道をして、御園座界隈を歩いて家に戻った。

御園座の玄関には、「御園座創立130周年記念 錦秋歌舞伎」の公演看板が掲げられていた。

もともとは歌舞伎を中心とする劇場だったが、最近では歌謡ショーからミュージカルまで、幅広いジャンルの公演が行われるようになった。

しばらくは、歌舞伎を楽しみに訪れる人たちで賑わうことだろう。

 

 

御園座の南側では、建て替えが進んでいた老舗呉服店「松本糸舗」が、「御園糸ビル」として完成していた。

低層階には店舗が入り、高層階はマンションになるようだ。

 

 

店舗部分の入口は個性的な意匠で、現代的なタイルやガラスを多用したビルの外観とは対照的に、浮世絵風の絵が描かれている。

どこか和の趣を感じさせる佇まいを演出している。

 

この建物を見ていると、昔のことがふと思い出された。

子どもの頃、祖母や曾祖母が松本糸舗で端糸を買い、それをつないでいた姿である。

短く縮れた糸を何カ月もかけて結び、やがて一反分の糸に仕立てて、孫などに贈っていた。

 

かつて名古屋には、こうした風習が受け継がれていた。

母親が娘の幸せや嫁入りを願い、一本一本の糸をつないでいく。

そこには、家族の幸せを願う昔の人の思いが込められていたのだろう。

 

今では、こうした光景を目にすることもほとんどなくなった。

御園座界隈では、老舗の和菓子店や和装小物店、飲食店などが次々と姿を消している。

一方で、新しい店や建物も少しずつ増えている。

街の姿は時代とともに変わっていくが、これからこの場所にどんな素敵な店がオープンするのか楽しみだ。