早朝は薄い雲が空を覆っていたが、白川公園でのラジオ体操が終わる頃には雲も切れ、青く澄んだ夏空が広がっていった。

 

 

お昼頃には入道雲を思わせる積乱雲が湧き上がり、一雨来るかと思われたが、結局雷雨にはならず、気温はぐんぐん上昇して真夏日となった。

 

 

 

午前中は家で円空仏づくりに取り組んだ。

先日木取りを終えた千手観音立像に、飛騨国府「清峰寺」所蔵の千手観音像の写真を参考にしながら、頭部や胴体、腕の位置などの要所へ墨線を入れた。

その後、鋸と鑿を使って大まかな形を削り出し、頭部と胴体の輪郭づくりを進めた。

 

 

清峰寺に伝わる千手観音立像は、円空仏の中でも最高傑作の一体と称される名作である。

円空が1690年頃にこの地へ滞在した際、等身大の檜材から彫り上げた三尊像の主尊であり、その力強さと慈悲深い表情は多くの人々を魅了してきた。

 

千手観音像は、円空が残した数多くの作品の中でも数体しか確認されていない極めて貴重な存在である。

そのため美術的・歴史的価値ともに高く評価され、円空仏を語る上で欠かせない作品となっている。

 

数年前に清峰寺を訪れ、聖観音像・竜頭観音像と共にこの三尊を拝観したことがある。

清峰寺は現在無住の寺で、事前に連絡すると地元の方が収蔵庫を開けてくださり、間近で拝ませて貰うことができる。

静寂に包まれたお堂で対面した千手観音像の迫力と存在感は今も鮮明に記憶に残っている。

 

寺は深い山間部にあり、近年なら熊に遭遇しても不思議ではない場所であった。

当時はまだ熊の出没が今ほど頻繁に報じられておらず、心配することなく参拝できた。

今思えば、それも貴重な機会だったのかもしれない。

 

最高傑作と称される千手観音立像に挑むのは大きな目標だが、写真を見ながら鑿を進めていると、少しでも円空の息遣いに近づきたいという思いが湧いてくる。

完成までの道のりは長いが、焦らず一歩ずつ形にしていきたい。