大切に思えて、切なくなって、大好きだと言えることにまぶたが震える。
もう塗り固めなくてもいいんだ。
いくつもいくども石膏を塗り重ねてもう身動きが取れなくなって、
形を整えているつもりが、もう凹凸もない固まりになってた。
空気穴もなくなった。
このまま粉々に砕けるのかと思ってた。
嫌だと思ったよ。
もがいて壁に体を打ち付けてこすってもたれてなぐってひっかいて、
そこから出ようとしてたんだ。
立ち止まってくれた人がいた。
がたがた動く白くて固いぶさいくな石膏像がいること気付いた人、
ひとりふたりさんにん……。
あばれて叫んで奮い立たせて、
外には見えないけれど、中にある私を出したくてその空間ひとりいた日々。
ついに石膏像はぐらぐらぐらんぐらん揺れて倒れて砕けるところだったのです。
あまりの衝撃に内側の自分も壊れそうだったその時。
だけどその場にいてくれた人がいた。
砕ける前に一緒になって倒れてくれた人がいた。
ひとり。
愛してます。
今はもう、あったかいその思いを抱いて、私は外に立っている。
時々じゅくじゅくと足元から湧いて立ち上ってくる嫌な壁、
あなたを見てると気付ける、取り囲まれる前に蹴り壊せる。
頑張れる。
一緒に立っていられるように、
自分のやな壁に色を塗る。なりたい自分になっていくよ。
手をつないでくれてありがとう。
あの頃の石膏の欠片。
今も持ってる。
時々見つめて自分を奮い立たせる。
欠片の裏は傷だらけ。
私のもがいた無数の軌跡。
自分を誇れるから、見る度今日明日明後日大丈夫と胸を張る。
何度も迎える重い人生。
まだ、生きるよ。
まだまだ、生きるよ。
生きるよ。