たこやき食べにいかへん?
友達に誘われて、携帯と財布だけジーンズにつっこんで外に出ました。平日の午後二時。
陽射しが暑いです。体の芯に突き刺さってそこからじわじわ暖めてくる。
風がね、まだ冷たくて体を表面から冷やしてくるから心地よい。そんな日和でした。
彼女とは中学一年生からの友達です。
そして今一番創作を語り合える人です。
いい天気だねぇ。やっぱ田舎の風と都会の風は違うんよ。都会には住めへんなぁ。
待ち合わせ場所はお互いの家の中間にあるバス停。いつもの場所。
ずっとパソコンをいじっていたから外の空気を吸いたくなったといいます。
6,7時間はそりゃきついっすよ。
ああ、私も気持ちいいや。知らず晴らさなきゃいけない気持ちになってたのかなぁ。
さて、行ってみればたこ焼き屋の営業が三時間後でしかたないと笑う。
予定変更で近くのケーキ屋さんでチョコレートマフィンを買って、透明のビニール袋で下げて、百円自販機でコーヒーを買って、公園に向かいました。
小学生のようだ。あはは。
ベンチに座って私たちが話したのはまず、彼女が書いている小説のことです。
彼女の今回の作品、学園コメディを装ったファンタジーがめちゃくちゃ私のつぼにはまってしまっていて、
うおーっという勢いで楽しみだと連呼する私。
ちなみに気になる点も話しますけどもね。
連載を読んでいる気分ですよ。なかなかのせられてしまいます。
書けることがほんまにうらやましいですね。
そっちはどうなん? 書いてるの?
うーん。書いてない。
実は呼び出される直前に書こうかなとしてたとこやったのにねぇ。
なんてちゃかしてみる。こらこら。
それはごめん、悪かったなぁ、って言わなくてもいいよー。
だって創作話するのめちゃ楽しいし。
その子は今、何かふっきれた気持ちで小説を書いています。
でもね、彼女、実は編集者にもなれると思うのです。
つまってしまった作家の頭をほぐして、今本人がぶちあたってる問題を綺麗に取り出して分りやすい言葉で見せてくれるんですもん。
私が多くを語らない内に(とは言え、長いこと同じような状態なのでみやぶられていたのかもしれませんが)
彼女の漫画家志望の友人の話をしてくれました。
まるで私のことを言っているようなその子の悩み、そしてその子へ話したこと。
それはあんまりにも自分の心にぴたりとはまりました。
あんたすごいよ。
そして自分が一時期陥っていた状態の話もしてくれました。
私が書けない書きたいでも書けないって葛藤していた頃、
今思えばそれは全部、何かの賞用に作ろうとか思ってた時なのよね。
そう思うとどうしても制限をかけてしまう。
これだけの枠に収めよう。
こういう話にしようということですら枠内の話にしてしまう。
どこかありきたりでそつのないものになってしまう。
その通りです。
だけど私にはそこからどうやって抜け出せるのかがどうしても分らなかった。
彼女曰く、
大切なのは妄想だ!
とのこと。
漫画でも小説でも、自分が燃える(萌え?)展開があるでしょう。
ここでこうなったら……うっきゃー、もうめっちゃいいやん! そうこなくちゃねぇやっぱし。
ってやつ。
それはしてると思うのよね。でも必要なことはそれを突き詰めること。
妄想を始めたらいきつくとこまでいってみろ!
そうしている内に、一つのシーンから枝分かれで色んなことが固まってくる。
主人公のクセ、その言い回しの影響は実はあいつから、ほんのちょっとしたことでも、
人物達の厚みになって物語に深みが出る。
人物に深みが出れば、自然と話は決まってくる、苦労がひとつなくなる。
そういったことを聞いて、私が納得と共感を強く得られたのは、
妄想から物語を膨らませる経験が実際にあったからです。
そうだ、昔はそうだった。
それはとても楽しい作業だったんだって。
私が忘れていたことを今一番大切なこととして再び目の前に見せてくれた。
あんたはほんとすごいよ。
その後、私達は自分が好きなキャラクター像、絶対使ってしまうキャラクター、
絡ませたいタイプなどをきゃっきゃと語り合いました。
それも行き詰っている私のヒントとして彼女が意識してか無意識でか分らないけれどくれた時間です。
気が付けばたこ焼き屋も営業を始めている時間でした。
しっかり食べましたよ。今回の目的はたこ焼きです。はは。
ものかきにとっての味方、優秀な編集者が友人にいるんですね私。
その力はものかき以外にも発揮される、そして実はがんばらないでいい空気も持てる、その逆も。
彼女は私の物語になくてはならない登場人物なのです。
彼女の物語で私がどんな人物なのか、聞いたことはないけれど、出番がカットされないようにがんばるよ。
普段は何気ない友達関係で気楽にいってるけれど、
たまにはこんなふうに改まるのもいいよね。
こっそりそんなことを思った、いつもの時間の後のことでした。