お試し移住生活をさせてもらって半年。

愛媛、岡山、徳島、広島とお試し暮らしをさせてもらってきましたが(体験記はまだ岡山で止まっていますが)

ぼちぼち一度岩手に戻ることになります。

半年の移動・移住生活はあまりに学び多く、あまりに楽しくて…本当にあっという間でした。。

この生活が終わってしまうことにものすごい寂しい気持ちを抱きつつ、、、

同時に「やりきったな」という心地いい疲れのようなものを感じています。

もう少しこうしたかったなというちょっとした心残りもありますが、(ひとまずは)もう十分。

本当に贅沢な時間を過ごさせてもらったと、ただただ感謝ばかりです。


 

人生はよく旅に例えられます。

ひとりひとりに歩む旅路・目指す方向が異なるように、ひとりひとりの人生も異なるということ。

旅が未知の世界に飛び込むものであるように、人生も誰も知り得ない未来に向かって歩んでいくということ。

旅というものが有限であるように、人生もいつか死を迎える有限なものであるということ。

そうしたことから人生が旅に例えられるのだろうと思いますが、

今回のお試し移住生活を仮に旅とするならば、旅の終わりを前に

ほんのちょっとの心残りもありつつ「やりきった」と感じられているということは、

本当に幸せな時間・経験だったということなのだろうと思います。


 

一度しかない人生。

誰もが悔いのない人生を送りたいと思っていることと思います。

しかし実際には日々我慢を強いられ、生きることに喘ぐことも少なくありません。

「悔いのない人生を送りたい」気持ちと「我慢を強いられる現実」とを掛け合わせたときに出てくるのは

「経験したもの勝ち」というような刹那的で利己的な生き方となり得るのでは?と私は思っており、

「悔いのない人生を!」というスローガンが掲げられているところを目の当たりにすると

これまで少し違和感を覚えてきました。

大事なのは我慢を強いられなくて済む現実にすることはもちろんですが、

「悔いのない人生」を目指すのではなくて、

「悔いがあってもいい人生」とは何かを考えることではないかと思うのです。

 

私が今感じている「やりきった」は確かに十分に「経験した」ということを意味しています。

悔いのないようにここでしかできない経験をたくさんした。

そのことを意味していることは間違いありません。

これは「悔いのない半年」を送れたということのように見えますが、

私の実感としては「悔いのない半年」というよりも「悔いがあるけどいい半年」となります。

「悔い」はあるのですが、今の私には一切の渇きがありません。

もし私が「経験したもの勝ち」的な「悔いのない半年」を目指していた・過ごしていたとすると、

おそらく今の私の中に渇きがあったのではないかと思うのです。

「悔いがないはずなのに、渇きがある」

「悔いがあるはずなのに、渇きがない」

これらは矛盾したような表現ですが、

今の私から見ると、これは成り立つ(両立する)ような気がしています。

 

 

先日韓国で多くの人が亡くなるあまりに痛ましい悲劇が起こりました。

日本においても、目を覆いたくなる悲しい事故・事件が相次いでおり、

この世界は悲劇や暴力で満ち溢れてしまっていることを日々実感します。

その現実を前に、人生はいつ何が起こるかわからないことを思うと、

「悔いのない人生」というスローガンは魅力的なものに映ります。

しかしそれは限りなく渇きを伴うものへと人々を駆り立ててしまうのではないかと私は懸念します。

それは本当に私たちの求める生き方なのか、求める世界を実現しうるのか…と思うのです

 

旅では道を間違えることもあります。雨に打たれることもあります。

水や食・文化が合わないこともあれば、事故や災害に巻き込まれ予定を変更しないといけないことも、

見知らぬ土地ゆえにリスク回避が難しいことだってあります。

人災や暴力を除き、そうした避けられないものがあっても「いい旅」ができること、

「いい旅」ができたと感じられる旅こそが「豊かな旅」なのではないでしょうか。

人生を旅に例えられるのだとすれば、「豊かな人生」についても同様のことが言えるのではないか…

この半年を通じて改めてそんなことを思うのです。

生き急がなくてもいい。悔いが残ってもいい。夢を持たなくても夢を叶えられなくてもいい。

それでも「やりきった」人生を送れる社会が豊かな社会であり、豊かな人生ではないか。

もっとこうしたことを考えていきたいです。

 

落ち着いたら体験記の続きを書きつつ、学びを深めていけたらと思っています。

同時に、今後の生活について改めて考えていけたらと思っていますし、

学ばせてもらったことをもとにやりたいことに邁進していきたいと思います。

本当に豊かな半年でした。関わってくださったすべての人や地域に感謝いたします。

記事を読んでくださっている皆様にも感謝申し上げます。