笠岡市でのお試し暮らし体験記⑧では、

⑦で書いた『くらしき桃子』のある倉敷市について書いておきたいと思います。


 

倉敷市で有名なスポットは何といってもこちら、美観地区でしょう。




ここは空襲から奇跡的に残った町で、その風景は江戸時代から変わらないと言います。

名前の通り美しく趣のある街並みが続いており、散策しているだけで癒される空間となっていました。 



平日に訪れたのですがそれでも多くの観光客と思われる人がおり、

結婚式用?の写真撮影をされている方もいて、穏やかだけど賑わいを見せていました。



桃を食べるほかに、ここで体験してみたいと思っていたのは「くらしき川舟流し」です。

美観地区には道の中央に川が流れており、そこを舟に乗って通り、美観地区の景色を眺めることができます。




これはなかなかの人気ぶりでして、わりと早い時間に券を買いに行っても

次の次の舟くらいに乗れるようになったため、体験したい方はお気をつけてくださいね。

15分くらいかけて美観地区を端から端まで往復してもらえ、

その間に船頭さんが美観地区についていろいろ説明もしてくれます。



この川を使って荷物の往来がされていたことや、かつては海水が通っていたこと、

日本一長い一本の石の橋がかけられていることなどなど(他にもいっぱい教えてくださいます)、

地域の歴史を教えてもらえ、違った見方を得られます。

ちなみに、その石の橋(中橋という名前かと)では「るろうに剣心」の撮影があって、

佐藤健さんが来られたそうです(結婚式の写真撮影をされていた方もこの橋の上でした)。




ファンの方には必見のスポットなのだろうなと思われます。

さらにちなみに、石の橋に刻まれている龍をよく見ると、爪が5本になっているのですが、

それは日本でも珍しい(ふつうは3本)そうで、これも龍好きな方に()必見と言えますかね。



まじめな話をすると(全部まじめですが)、先ほど「海水が通っていた」と書きましたが、

このあたりはもともとは海であったようで、笠岡市と同様、

ここも干拓地として栄えていった歴史があるようです。

「吉備国の穴海」などとも呼ばれていたエリアで、

海の中に島が浮かんでいるといった場所・地形だったと言われています。

倉敷は日本一の繊維のまちなのですが、それは干拓地といぐさや綿花が合ったためであり、

ここには倉敷紡績工場も建てられて一大産業となりました。

現在そこは「倉敷アイビースクエア」という名前で複合型施設となっています。




ここアイビースクエアで有名なのは、イギリスをマネて工場の屋根をのこぎり形にしたことでしょう。

おそらく、明治時代に日本がどんどん西洋化していく流れで導入されたのだろうと思われますが、

イギリスと日本では緯度?が違ったために、工場に直射日光が入ってしまうという問題が発生したと言います。

それでは作業が困難になるため、温度を下げる必要があって何をしたかというと…

そうです、施設を包むようにアイビーを育てて温度を下げたのでした。

それで、写真のような建物・光景が生まれました。



なんとこれで10度ほど温度を下げることに成功したと言います。

賢いというのかなんというのか…干拓地と綿花の話ではないですが、

その土地の風土を鑑みて知恵を出すことの大切さを思わされます。

 

もうひとつここで私がおもしろいと思ったのが、ここには代官所がかつてあったということです。



いぐさや綿花が合ったと書きましたが、それは逆を言えば、

塩の影響からここで米を育てることは難しかったと言うことができます。

当時の年貢は米なので、そこに代官所が設置されているというのはどんな感じだったのだろう…と思うのです。

プレッシャーではなかったのですかね。。

勝手に設置されちゃったから仕方ないという感じだったのでしょうか。

そのあたりのことはわかりませんでしたが、かつて放送されていたブラタモリでは

倉敷は周辺で収穫された米などの物資の集散地の役割をもっていた

とあり、集積地のことを

倉敷地(年貢などを輸送するために一時保管した場所)

と呼んだとありました。

それでそのままここの地名が「倉敷」といった内容が紹介されており、

それだけここは流通に適した場所で、

代官所としても監視にもってこいの場所だったのかな?と想像します(わかりませんが)。

舟乗り場には「倉紡製品原綿積み降ろし場跡」の石碑があり、

少なくともこの地が川と綿と人とのつながりを持った町であることが連想されました。



気候危機をはじめ、今後この世界・社会がどのようになっていくかはわかりませんが…

こうした町の息遣いのようなものが今後も残っていくといいなと思わせてくれる場所でした。

多くの人に、ぜひ一度訪れていただきたいなと思うのでした。