笠岡市でのお試し暮らし体験記⑤では、④で触れたウクライナについて

(笠岡市から少し離れますが)岡山市にて考えさせられたことがあったので、

そのことについて書いておきたいと思います。

 

唐突ですが、岡山市に『スロウな本屋』という素敵な本屋さんがあるのをご存じでしょうか。

『スロウな本屋』さんは、その店名からもわかるように

「ゆっくり愉しむ」ということをコンセプトにされている小さな本屋さんです。



木造の一軒家で(写真の奥がそうです)、店内には絵本から性教育・ジェンダー・持続可能・社会運動などに関する本が置かれており、

店主さんによって厳選された本が並んでいる空間はそれだけで癒されます。

私が訪れた時には地元の人と思われるお客さんがいて、

店主さんと本について様々なお話がされている光景が見られました。

その方にとってはある種その空間は居場所となっているのだろうなと感じ、

大切な場所なんだろうなぁと勝手ながら感じたところです。

と、何やら詳しそうに書いている私ですが、

実は『スロウな本屋』さんが岡山市にあることを知ったのは、

訪れることができたのはたまたまが重なってのことでした。



もともと『スロウな本屋』さんのことはTwitterで知っていたのですが、

これまで書いているように笠岡市での生活をすることができるようになったことではじめて、

岡山県について私は調べるようになりました。

「岡山」が私のアンテナに引っかかるワードになった、という方が正確ですね。

ある時『スロウな本屋』さんがTwitterで『キーウの月』という本を紹介したのですが、

その本がとても気になって(今まではちゃんと見ていなかったことが露呈されますが笑)

ちゃんと『スロウな本屋』さんのプロフィールを見てみたところ、

「岡山」というワードがあることに気が付きました。

調べてみると岡山市にお店があるようで(オンラインのみのお店かと勘違いしていました)、

これまた偶然にも岡山市に行く機会を得ていた私は(このこともまた後ほど書くと思います)

ぜひ立ち寄りたいと思い、今回訪れることができたのです。

タイミングというのは不思議なものだなと思わされます。


 

『スロウな本屋』さんでは、上記した『キーウの月』という本を手にし購入しました。



他にも二冊、計三冊思わず買ってしまったのですが、いい本があり過ぎて迷いに迷ったのは内緒です笑。

『キーウの月』という本は、ウクライナを支援するための絵本として緊急出版されたもので、

ジャンニ・ロダーリという作家による作品です。

「キーウ」というのはウクライナの首都のことで、

ロシアによるウクライナ侵攻がはじまって私たちもたびたび耳にすることになったと思います。

その「キーウ」が侵攻の危機に陥ったとき、

現地の人たちはみな「キーウの月」に関する一編の詩を思ったそうです。

それが今回の緊急出版につながり、翻訳の方を含めて、

無償で絵本が制作されたと『スロウな本屋』さんで知りました。

『キーウの月』は

キーウの月はローマの月のようにきれいなのかな

という言葉からはじまります。

そして、表紙の帯にはこうあります。

今、わたしたちが眺めている月を、ウクライナの子どもたちも見上げています

で「世界はつながっている」ということを書きましたが、

この短い絵本・詩は、そのことをじわっと感じさせてくれ、考えさせてくれます。

世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない

という言葉は宮沢賢治の言葉として有名ですが、

私たちはもっとこのことを考えて生きていかなければならないのではないでしょうか。

これまで一切縁のなかった岡山市という地において、

このことを考えさせられる妙を思いながら、この危機を受け止めつつ希望を持っていたいと、そう思うのでした。