昨年末に一気に書いた一昨年(になっちゃった)の九州旅ですが、実はこの旅は結婚旅行として行ってきました。

 

コロナ禍で結婚式を挙げられなかったり、結婚旅行ができなかったりしている人が多くおられる中で、

こうした記事を書くことに躊躇いは正直ありましたが、、

それでも、地域の魅力や旅の魅力(どうしたら気候危機と両立できるのかもずっと模索しています…)を

書いていたいと思うので書かせていただきました。

コロナが一刻も早く落ち着き、また、

コロナ以外の様々な理由で結婚式や結婚旅行が難しくなっている方もおられると思うので、

そうした方々の状況が少しでも早く落ち着かれ(時に適切なサポートも受けられながら)、

どうかみなさまが少しでも喜び多い時間を過ごせたらと願っております。


 

さて、ここからはいくつか旅記事の番外編を書きたいと思います。

番外編というのは、旅を通じて多くの出会いや発見、気づきがあり、

旅や地域・人びとなどから学ぶことが多くあり、それについて勝手に書いていくやつ(雑な書き方())です。


 

九州旅ですごくおもしろかったのが、何と言っても数々の「神話」と触れることでした。

個人的には「土地の物語」とよく言っているのですが、

宮崎は高千穂の天孫降臨の話をはじめ、旅を通じて多くの「神話」を知り、

その舞台に触れることができたことは本当に貴重な経験であったように思います。


 

天孫降臨のことにはこれまで触れてきたので、それ以外の話を少し書いておくと…

宮崎・高千穂では、鬼八(きはち)という鬼に関する物語と多く触れることができました。

鬼八とそれを退治する神様に関する物語が多く、

高千穂神社には、鬼八を退治したとされる三毛入野命(みけいりののみこと)が祀られています。

 

 

 

鬼八は大変悪い鬼だったようで、高千穂郷一体で悪行を働いていたのですが、

弟である神武天皇とともに大和に行っていた三毛入野命が高千穂に帰って、

鬼八を退治し、この地を治めたとされています。

 

高千穂峡には、その時に鬼八が三毛入野命に向かって投げた200トンもある巨大な石があったり、

鬼八が奪った鵜ノ目姫が水鏡に写り、三毛入野命が一目ぼれしたとされるところがあったりします。

 

 

 

 

熊本の上色見熊野座神社では、鬼八が蹴破ったとされる穿戸岩(うげといわ)という岩穴があり、

その稀有な岩穴が地域の人の信仰の対象となっているという話もありました。

 

 

ちなみに巨大な謎の足跡?もありました、鬼八でしょうか。

 

 

鬼八の墓も高千穂町内に三か所あるようで、首塚についてはホテル神州というところの東北にあるようです。

これ(東北)は「鬼門」を表しているのだろうと思います。

とてもユニークな話で、いたるところに出てくる鬼八とは、

いったいどんな人物?だったのだろうと想像しながら旅をしていました。

 

ただ、鬼に関する話というのは各地であったりするものですよね。

かつては、得体のしれない恐ろしい何か(何ものか)を鬼として考えたりすることがあり、

おそらく鬼八は本当に存在した困った人物のことをそう呼んだか(差別的な話ですが…)、

あるいは、獣か疫病といった恐ろしい何かを鬼として表したか、

真偽は私にはわかりませんが、そういった類なのではないだろうかと(私は)思ったりします。

一方で、「鬼ごっこ」という遊びがあるように、

私たちは身近なものに「鬼」という言葉をつけたりすることもあり、鬼との付き合い方?は様々です。

で、昨今で「鬼」と言えば、

多くの人の頭に浮かぶのが「鬼滅の刃」になるでしょうか(突然俗っぽい話になりますが笑)。

「鬼滅の刃」については、私自身いろいろ思うところあってあまり積極的に観ていないのですが…

どうやら九州が舞台?となっているようだと今回の旅で知りました。

知った、というか、とりあえず会いました、鬼殺隊に笑。

 

 

太宰府天満宮から天開稲荷神社に向かう途中で、突然撮影?がされていまして、

このあたりが舞台なのかな?と調べてみたら、

いろいろ言われているようですね(あまり詳しく検索していないですが)。

たとえば、主人公の名前の「竈門」が入っている竈門神社。

ここはもう大行列で…鬼滅人気ゆえに、絵馬にもたくさんの鬼滅の絵がありました。

 

 

 

 

太宰府天満宮から東北(鬼門)の位置にあり、太宰府天満宮を鬼から守るという位置づけの神社のようで、

正式には発表されていないようですが、ここが舞台と言いますか、参考にされていることは間違いなそうです。


 

また、大分には狭霧台という場所があるのですが、鬼滅の刃では狭霧山という場所で修業がされたそうですね。

 

 

私が訪れた時は快晴であり車だったのでとても心地よかったですが、

狭霧台までの道のりはなかなか険しく、とても霧深くなる場所と言われているようなので(風はめちゃくちゃ強かったです)、

修行の地として参考にされても(これも正式発表はないようですが)おかしくないように思います。


 

ちなみに、高千穂神社では

「農作物を食い荒らしたり人をさらったり、霧を降らしたりする鬼八への供え物として猪を差し出す」

という猪掛祭というものが毎年行われているようです。

猪のキャラクターが思い切り猪の顔のままなのは、そうしたところからだったりもするのでしょうか。

そういえば、雷というのは、天孫降臨を連想させたりもしますね。

と、全然鬼滅を知らないくせに、ファンだったら嬉しくて仕方ないルートを辿り、

予期せぬ形で鬼滅の刃を思う時間を過ごしました笑


 

他にも、美しい娘が大蛇の化身であったという蛇越展望所や、

由布院盆地ができた伝説などにも今回の旅で触れることができました。

 

 

 

 

こういった「土地の物語」には全国にあり、多くの共通点がありますが、

その土地ならではの独特なお話も多くあり、

そこには人びとの祈りや言語化しづらいような営みのようなものが見え隠れするため、私はとても魅かれます。

そういった視点から見ると「鬼滅の刃」がヒットした理由には

(様々あるでしょうし何も知らないくせに言うなとファンに怒られるかもですが苦笑)

「鬼滅の刃」が決して新しい物語ではないということ(共通の物語)と、

それを独特の物語として創り(磨き)上げていったということがあるのかもしれないなと思ったりします。

私は「土地の物語」を通じた「あるくみるきく」をしていますが、

それこそ、私に漫画を描く能力と創造力があれば、そうしたことを物語化したくなったりもします。

それ以上に、その「土地の物語」をその土地に暮らす人がどのように捉え、どのように語り、

どのようにして受け継がれてきたのかなどに関心があって取り組んでいて…

他にもいろいろ理由があるのですが、それについてはこちら

 

 

で今後書くのでよろしければ。


 

高千穂では、太陽に手を合わすだけでなく

「農作業をするときは山の神様に、畑でお茶を飲むときは山の神様にどうぞとしてから飲む」と言われ、

「秋から冬にかけて豊作の感謝と来年の豊作への願いを神楽で行う」そうです。

(高千穂の話についてはたまたま耳に入ってきた何かの番組を参考にしています。

これだったかもです。

 

「土地の物語」で有名なのは「遠野物語」があると思いますが、

遠野はその厳しい自然環境ゆえと思わせる多くの悲劇的な物語があり、

同時に、人びとの暮らしにその物語が影響(暮らしが物語に影響しているのでしょうけど)していたりします。


 

そうした足もとにあるものを大事にしていくことで、見えるものがあるのではないかと私は思っています。

これはおっさんの説教のような(笑)、古臭いことのように聞こえる部分もあるかもしれませんが、

「鬼滅の刃」を見れば、そんなこともないと感じていただけるでしょうか。

これからも私は「土地の物語」、人びとの足もとにあるものを大事にしていきたいと思うのでした。