彼女がどんな演技をするのか聴きたい、ただそれだけでした。
ただ、声だけでは無く、映像も、音も、素晴らしい世界観を十二分に表現していて、あっという間に作品に引き込まれました。
まずきっかけになるのは面白い発想から生まれた世界観です。
監督の原体験を元にされているという事ですが、今はどんな場面なのか、次はどんな展開になるのかが読めないハラハラ感は作品に対する興味を強くしてくれました。
そしてその世界を支えるのが美しい映像です。
独特の世界観だけど、リアリティをしっかり感じられたり、演出も僕らが体験し得ない世界の魅力を巧みに伝えてくれました。
そして作品を支えたのは、素晴らしい声優さん、特に岡本信彦くんはさすがでした。
禁書の時にイメージ通りの悪役を演じたかと思えば、ヒーロー、三枚目など、幅広くその世界観を伝えられる声の力にあらためて惚れ惚れしました。
そしてお目当てだった藤井ゆきよさん。
映画始まってすぐに感じた初期ランカっぽさ(申し訳ないけど悪い意味で…)があって、身構えてしまったのは事実です。
しかし、作品が進むに連れ、演じるパテマの喜怒哀楽が多彩になってくる中で、どんどん魅力的になって行きました。
ランカっぽさ…に通じるのは声の端々から悲しさを感じたからかもしれません。
ランカも、そして今回のパテマも、大切な人を失っているという心の何処かに悲しさを抱えている女の子で、それを声質と重ね合わせて感じられた事で、より作品を深く体感出来た気がしています。
つくづく声ってその時のその人の気持ちを伝えてくれると感じました。
作品を観ながら、岡本くんの自然だけど感情豊かな演技に藤井さんもどんどん刺激されて、まさに作品の中のパテマとエイジのような関係が生まれているのを作品を通じて感じ、最後はキャラクターと共に大きな感動を迎えました。
さかさまのパテマは決して世間で大きな注目を集めたような作品では無いかもしれません。
ただ、作品を通して様々な人の体験や感動を感じられる素晴らしい作品でした。
日本のアニメは、それをつくっている方々は世界一だと、あらためて感じています。
まだご覧になっていない方は、ぜひ作品に触れて頂きたいと思います。
(´-`).。oO(ちなみに作品を通して何回も驚きがあって、人を楽しませるっていう映画の一番大切なところをしっかり押さえてくれていたと思います。
空に落ちていくキャラクターと同じように、観ている側も作品に吸い込まれすまいましたw