男はつらいよ(第1作/69年8月27日公開)
わたくし、生まれも育ちも葛飾・柴又です。
帝釈天で産湯を浸かい、性は車、名は寅次郎。
人呼んで、フーテンの寅と発します。
来年、50周年を迎える「男はつらいよ」「寅さん」その記念すべき第1作。当初はシリーズ化のつもりなく、そのぶん、話しが盛りだくさんです。寅次郎が柴又に帰ってくる、さくらや、おいちゃんとおばちゃんと再会する、博とさくらが結婚する(そして、披露宴で志村喬のあの名スピーチがあり…)、そして、寅次郎が冬子さんにフラれて、また旅に出る…。何度見ても、新しい発見があるんですが、今回、印象的だったのは、博がさくらに告白する場面でした。博、このシリーズにおいて、一世一代の晴れ舞台です。
僕の部屋からさくらさんの部屋の窓が見えるんだ。
朝…、目を覚まして見ているとね、
あなたがカーテンを開けてあくびをしたり、
布団を片付けたり…。
日曜日なんか楽しそうに歌を歌ったり。
冬の夜、本を読みながら泣いてたり、
あの…、工場に来てから3年間、
毎朝あなたに会えるのが楽しみで、
考えてみれば、それだけが楽しみでこの3年間を…。
僕は出て行きますけど、さくらさん幸せになってください。さよなら。
この男はつらいよは、寅次郎とさくらの物語りであると同時に、寅次郎と博の物語りでもあるんです。
この第1作で、博は(寅次郎に言わせれば)大学も出ていないただの職工で(自分ことを棚に上げてよく言います)、タコ社長の印刷会社で、毎日、額に汗して、油にまみれ、せっせと働いています。対して、寅次郎は「ほら、見な、あんな雲になりてえんだよ」と風の吹くまま気の向くままの気ままな渡世人。博は、寅次郎に憧憬の念を抱いています。兄さん(寅さん)みたいに生きてみたいなあと思っているはずです。いや、それは博に限らず、日本のサラリーマンみんなが思っているはすです…。
つまり、博の目線は、日本の多くのサラリーマンの目線なんですね。
