H19年1月 進捗状況報告書 | 「法と経済学」の視点から~文系院生の生活記録~

H19年1月 進捗状況報告書

H19年1月 進捗状況報告書

                                  

<作業内容>

「新会社法下における最低資本金制度の廃止」についての研究計画を立てた。新会社法の施行により資本金1円からでも株式会社が設立できるようになった。高校生が株式会社を設立したことが取り上げられるなど、メディアは一般的にこの改正を好意的に捉えているようである。しかし、株式会社の特徴の一つとして株主有限責任がある。つまり、会社債権者の側から見れば、弁済の担保となるものは会社の財産だけであることを意味する。この様な、観点から見た場合、資本金1円という会社が果して許されるべきなのだろうか。また、確かに最低資本金制度を廃止したことにより今後設立される株式会社の数は増加していくだろう。しかし、上記の様な債権者保護に欠ける会社が濫設され、社会に混乱を引き起こすことになりかねないことが危惧される。

最低資本金制度の変遷

①平成2年の商法改正(平成2年法律64号)により最低資本金が株式会社では1千万(旧商法168条の4)、有限会社では300万円(旧有限会社法9条)とされた。

⇒最低資本金引き上げまでの経緯、時代的背景の考察

②中小企業挑戦支援法(平成14年法律110号)により、一定の条件化で設立後5年間は最低資本金に関する規制が課せられないことになった(同法10条)。この特例制度を利用することで18,545社が誕生した(平成16131まで)。

⇒立法の経緯の考察。その成果についての検討・評価

③新会社法は、設立後一定の期間に限定することなく、最低資本金制度を廃止した。

最低資本金制度廃止に対する批判

1、債権者保護に欠ける

立法担当者は純資産額が300万円を下回る場合の剰余金の分配を禁止(新会社法458条)することで債権者を保護しているとする。

⇒所有と経営が未分離な会社では役員報酬という形で、事実上の配当がなさせてしまうのでないだろうか。

2、会社の濫設により経済が混乱してしまう~18世紀英国における南海バブルの教訓。

立法担当者は法人格否認の法理により対処することを想定している。

⇒機動的な救済が果たして可能なのか。

立法論

最低資本金制度を復活させるべきである。そして、新会社法が有限会社を株式会社へ統合したと考えるならば、最低資本金は300万円と設定するのが妥当であろう。

<課題・対策>

  2月は上記の点を論じるための、文献・資料の収集を行いたい。