赤い風船 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

青い風船
地下鉄の通路で。
小さな子が青い風船をダッコしてた。


古き懐かしきパリ。
私が生まれる前に創作されたフランス産のお伽話。
『赤い風船』。
まず、その風景の美しさに打たれ、
胸が目が頭がビクビクした。

「少年が赤い風船と仲良く過ごしました」。
ただそれだけの物語。
ただそれだけなのに、ただそれだけだからこそ、
ラストでは涙がゲリラ豪雨になってしまった。

ハッピーエンドだと感じた。でも
違うかもしれない。実はとっても皮肉な結末。
悲劇なのかもしれない。
少年はあれからどうなったのだろう?

少年が赤い風船を握りしめている健気な姿は、
生まれたての赤ん坊の小さな手と重なった。

ギュッと握られた赤ん坊の小さなグーの手。
人はその手に大切なものを握って生まれてくるが、
やがて成長し、手が開くようになったとき、
“大切なもの”を手放してしまう。
失ったものは何だったのか?
人はそれを探すために生きるのだ、こんな話を思い出した。

わずか35分の短編フィルム。
映像作家アルベール・ラモリスの詩情あふれる真心。
どうやって撮られたんだろう?
見えないワイヤーを使って? あるいは手品?
風船がまるで生きてるみたいだった。
風船が笑ったり泣いたりするなんて!
もちろんCGなんてものは、まったくない時代のこと。

「フランスの映画にね、
『赤い風船』というのがあります。
 短い短い映画なんですけどね、
 きれいなきれいな映画ですよ」

淀川さんが生前、絶賛されていた『赤い風船』。
先生~ようやく映画館で観ましたよ!
灰色のパリの町に赤い風船が
悲しいくらいに映えてました。
丹誠込めて、こしらえられた1本です~。


2008/8/20 シネスイッチ銀座にて鑑賞

やぎ座 5*

★★★★★★☆
『赤い風船』『白い馬』公式サイト
『白い馬』と併映。東京での公開は10/10まで。

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