ザ・マジックアワー |  ◆ R I N G O * H A N

 ◆ R I N G O * H A N

歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

ムーンキャット
『ヒロイン特等席』



『マジックアワー』とは・・・・
日没後の「太陽は沈み切っていながら、まだ辺りが残光に照らされているほんのわずかな、しかし最も美しい時間帯」を指す写真・映画用語。

三谷監督の映画『ザ・マジックアワー』を観て、
しっぽりと思った。

「笑いのマジックアワーは、ほんまに短い」と。

がんばって30分、普通でも15分ぐらい?
そう、漫才でもマジックを使えるのは15分程度だろうか、
映像だと映画よりテレビの方が向いてる。
でも三谷監督、すごいよ!
私、文句なくゲラゲラ笑った、10分ぐらいは。
天然に勝る笑いはなし、ってことですな。
佐藤浩市さんの天然ボケっぽり、西田敏行さんの巧さ、
台詞の錯綜に拍手。

後半。

天然ボケがいなくなったせいか、
ダレダレであった。
2時間のマジックショーを作るんなら、
最後にドカーンとやってくれんと。


★★★★★☆☆ 7点満点で5点
過ぎし良き、映画が主役だった時代。
匂い立つようなスターさんがスクリーンを飾り
ワクワクさせてくれた数々の名作へのオマージュ。
三谷監督は特に、
かつてのハリウッド映画のヒロインにときめかれたのでしょう。
三日月にマドンナが座って歌う図はそんな絵だった。
(三谷作品は絵で魅了する方向ではない…)
過去の名作映画からの名シーンや、
故・市川監督のカメオ出演など、
映画ファンを楽しませてくれるオマケが散りばめてあり、
本作の笑いネタにもなってる。

で、絶対に本作の軸になるだろう、と予測できるのが、
『ニュー・シネマパラダイス』のラストシーン。
偽の映画撮影が、実は実在し、
ドタバタ喜劇に感動をもたらす大軸。
つまり「マジックアワー」になることは容易く想像できるわけで、
問題は、はたしてどこにもってくるのか、という期待。
結果、三谷監督はラストではなく、
一歩手前に用意されたわけだけど、
“あそこ”が私には一番の山場になってしまった。
もっと王道的に使う方法もあったのに、
わざわざ外されたところは、いかにも三谷マジックだけど、
まんまと、あざとく作ってもよかったのに、と想ってしまう。
なんせ、“あそこ”以降はどの台詞もどの場面も説明的すぎた。
特に“かつての大スター”が人生を語る場面など、
なくてもいいんじゃ…?

ともかく映画の後半に
天然ボケキャラを作れなかったのが、もったいないなぁ。
な~んて考えは、
コテコテの上方漫才で育った人間のコテコテのセンスかも。

映画館で観てから、もうずいぶんになる。
後半のドタバタも、物語の結末も、もう忘れてしまった。

●『ザ・マジックアワー』サイト

*Home*