オリジナリティに拍手 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


いつも心に新しい紙を一枚


TVで全日本フィギュア/女子シングルを見た。

真央ちゃん、優勝おめでとう。
よかった~2位のミキティもよかった~。
うん、フリーでは間違いなく、
ミキティの演技が印象的で
彼女にしか表現できないカルメンが、強さが見られた。
ショートでは間違いなく真央ちゃんなんだけど、
ただ、長年のフィギュア・ファンの私に
ちょいと ほざかしていただけるなら、
強いスケーティングのミキティになら、いつか、
『ボレロ』を演じられるかな、そんな気がしてる。
『ボレロ』は主に鼓動で構成された楽曲で、
表現者がオリジナリティを発揮するにはもって来いだ。
ちなみに、『ボレロ』はサラエボ・オリンピックで
イギリスのアイスダンス・ペアが
(当時の採点方式で)6点満点を出してから
なんとなく聖域となった名曲でもある。

オリジナリティといえば、
私自身も私にしか描けない絵を描きたいと、
ずっとずっと願っていたことで、
現在はようやくその兆しが見えたという段階だ。
で、オリジナリティを貫くべく切磋琢磨してみると、
それは実に孤独を伴うが、かつ、
強じんな精神を培うと、私は信じて疑わないわけで。

だって、世界にひとつしかないのだ、
道標はなく、不安や疑心暗鬼が道連れになることもある、
が、それらと折り合いをつけて辿り着くオリジナリティ。
道無き道を行く、
誰も通ったことがない道を切り開く、
時に人はそれを愚かだとか、みっともないと嘲笑するが、
その汗、その情熱に惹かれ、感動を覚えるのではないか。
マニュアルやレールがあればどんなに楽だろう?
だから私は、
オリジナリティーに富んだモノに共感を覚えるし、
今後も自分のオリジナリティを追いかけていたい。

ところが、ある日唐突に、
「あなたの絵はファッション性がないから
 そんな絵を描くのはやめなさい」
と権力者から頭ごなしに命令されたら…???
たとえば、ある時期ある事情で、
賃貸するマンションのオーナーが変わって、
「あなたの絵は私のセンスに合わないから
 出て行ってください」
そんなふうに強制されたら…??

なんで・・・
出て行かんとあかんねーん!

私だったら、吠えまくるだろう。
だいいちファッションやセンスなどという
個人によって異なる感覚を理由にして
道行く者へ戸を立てていいものか?
民主主義やら、自由やらを掲げている国で、
こんな理屈がまかり通ったりなんかしたら、
お先真っ暗闇じゃござんせんか?
「みんなと同じ絵を描きなさい、5*SEASONさん」
こう命令されたのと同じことだ。こわいがな、これ。

さて、話は変わって新宿駅の東口で、ひっそりと、
けれどエネルギッシュに佇んでいる
ベルクという小さな店が
現在「ファッショナブルではない」という理由で
「ある権力」から たいへんな圧力を受けていることは、
以前、このブログでも何度かふれてきた。
他人事ではない、と思う。
ベルクはオリジナリティーにあふれた店で、
世界にたったひとつの表現者、
フィギュアの真央ちゃんであり、ミキティーであり、
センエツながら私・5*SEASONでもあるのだから。

この「ベルク問題」を考える時、
ふと思い出されるフィギュアの名場面がある。
今から20年前の冬季カルガリー・オリンピックで
若干18歳の日本の少女が割れんばかりの喝采を浴びた。
その名を伊藤みどりさん、
フィギュアをスポーツへと押し上げた先駆者で、
彼女の前に「伊藤みどり」はなかった。
当時、彼女のスケートに対し審査員は
「芸術性に乏しい」
と、ジャンプなどの技術のみに評価を与え、
芸術点では辛口の批評をしたものだが、
観衆はかつてないオリジナリティの登場に
演技終了前から興奮をおさえきれず
スタンディング・オーベーションで迎えた。
やがて歓声は、低く表示された芸術点に対し、
大ブーイングへと一変。
彼女のジャンプやスピンは芸術的に美しかったのだ。

伊藤みどりさんの演技をTVで観ていた私は、
胸が壊れるほど感動し、20年経った今もなお、
あの光景を色鮮やかに思い出すことができる。
それは伊藤みどりさんの演技が
彼女にしかできない表現だったこと、もうひとつ、
最も美しいものは何なのかを知っていた観衆の姿。
型式や過去に縛られた組織側は
おそろしく頭が固かった。

これと同じことが、
ベルクに退店を強いている大企業にも言えると思う。
いかにお客様に愛され、
いかに新宿に根付いているのか、
頭が型にハマってガチガチ、分からないのだ。
ならば分からせてあげましょう~!
ということで生まれたのが『LOVE! BERG!』というブログであり、
ベルクを応援する声が続々と届いている。
その真摯なメッセージは、
カルガリー五輪の観衆に通じるのではないか…?

話をフィギュアにもどすと、
芸術を採点するという競技のため、
絵描き屋の私は常に疑問をもってしまい、
数字では割り切れない感情で演技を観ている。
こんな私だからこそ思うのだろうが、
伊藤みどりさんの後輩である真央ちゃんやミキティ、
そして他のフィギュア選手にも、
勝敗や採点という結果以上に
「観客を愛する表現者」でいてほしいと、
そう願わずにはいられない。
これは私自身にもいえることで、
私の絵を観てくださるみなさんへの
感謝の気持ちは けして忘れちゃいけない。

道なき道を進む
とはいっても、砂漠もあればオアシスもある、
つまり道上では出会いや心の交流もあるわけで、
孤独はいいが、孤立に陥ってしまうと
もう先には進めず、行き止まることしかできないから。

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