タロットカード殺人事件 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


『ルナティック・アレン』



タロットカードの『月』が暗示するものは
「迷い」「不安定」「邪心」などで、
月の美しさとは裏腹に良いものではない。
ただし救いはあって、
想像力や直感力が長けているなどがあげられるが、
はたして御大ウッディ・アレンには
月の良い影響があるのかどうか…。
私には邪心としか読み取れない、
少なくとも『タロットカード殺人事件』においては。

この映画の前に観た『ヴィーナス』とは
正反対の弱さと後ろ向き加減を
この映画のアレンから感じてしまった。
観る前から想像してたけど…。
現時点の己を輝かせるのではなく、
過去作品からの引用とアレンジが目に付いて、
彼が過去の栄光にすがっているようにしか見えず、
“若さ”を見出せなかった。
無理に見出すなら、
彼自身が主演女優にホの字ということ、か。

本作も『ヴィーナス』も、
老人と若き女性が物語の軸になっていて、
舞台も同じロンドン、2作の設定が似ているだけに、
渾身の差が如実に表れてしまい、
あまりにアレンが哀れで痛々しかったとさ。



★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
スカーレット・ヨハンソンの美貌と
「天然ユダヤ系アメリカ人」の演技がいいので駄作ではないし、
スカーレット・ファンの私としては満足してるけど、
物足りない。でもでも、さすがはアレン、
コミカルでシャレたミステリーに仕上がっているし、
そりゃまぁ軽快に笑わせていただいたけど、
なぁアレンよ、老いたなぁ。
映画が「三流のアレンジ落語」になってしまった。
スカーレットにイカレたアレンが
彼女のオーラにオンブしてるみたい。

現在 私はタロットカードの絵を描いている身の上なので、
何かしらの刺激を得られるかも、という期待もあった。が、
タロットカード自体は効果的な小道具ではなく、
ほんのワンシーンで使われただけ。
立ち読みしたパンフレットには、
鏡リュウジさんのコメントが寄せられていたけど、
それすらも空虚なものに思われた。
そもそも原題が『SCOOP』だし、
そっちの方が映画には合ってるんだけど、
邦題にタロットカードを使ったのは
ミステリー色をあげるための、客寄せパンダみたいなもん…?
以前チラッと近頃タロットカードがブームで、
デッキ自体も売り上げを伸ばしているときいたけど
その影響なんだろうか、だとしたら
私はブームに乗ってるヒトってことか…?


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