![](https://stat.ameba.jp/user_images/1e/1e/10035813118.jpg?caw=800)
『ルナティック・アレン』
タロットカードの『月』が暗示するものは
「迷い」「不安定」「邪心」などで、
月の美しさとは裏腹に良いものではない。
ただし救いはあって、
想像力や直感力が長けているなどがあげられるが、
はたして御大ウッディ・アレンには
月の良い影響があるのかどうか…。
私には邪心としか読み取れない、
少なくとも『タロットカード殺人事件』においては。
この映画の前に観た『ヴィーナス』とは
正反対の弱さと後ろ向き加減を
この映画のアレンから感じてしまった。
観る前から想像してたけど…。
現時点の己を輝かせるのではなく、
過去作品からの引用とアレンジが目に付いて、
彼が過去の栄光にすがっているようにしか見えず、
“若さ”を見出せなかった。
無理に見出すなら、
彼自身が主演女優にホの字ということ、か。
本作も『ヴィーナス』も、
老人と若き女性が物語の軸になっていて、
舞台も同じロンドン、2作の設定が似ているだけに、
渾身の差が如実に表れてしまい、
あまりにアレンが哀れで痛々しかったとさ。
スカーレット・ヨハンソンの美貌と
「天然ユダヤ系アメリカ人」の演技がいいので駄作ではないし、
スカーレット・ファンの私としては満足してるけど、
物足りない。でもでも、さすがはアレン、
コミカルでシャレたミステリーに仕上がっているし、
そりゃまぁ軽快に笑わせていただいたけど、
なぁアレンよ、老いたなぁ。
映画が「三流のアレンジ落語」になってしまった。
スカーレットにイカレたアレンが
彼女のオーラにオンブしてるみたい。
現在 私はタロットカードの絵を描いている身の上なので、
何かしらの刺激を得られるかも、という期待もあった。が、
タロットカード自体は効果的な小道具ではなく、
ほんのワンシーンで使われただけ。
立ち読みしたパンフレットには、
鏡リュウジさんのコメントが寄せられていたけど、
それすらも空虚なものに思われた。
そもそも原題が『SCOOP』だし、
そっちの方が映画には合ってるんだけど、
邦題にタロットカードを使ったのは
ミステリー色をあげるための、客寄せパンダみたいなもん…?
以前チラッと近頃タロットカードがブームで、
デッキ自体も売り上げを伸ばしているときいたけど
その影響なんだろうか、だとしたら
私はブームに乗ってるヒトってことか…?
*Home*
●『タロットカード殺人事件』公式サイト
●制作中のタロットカードの『第1次作品展』の様子
本作の前に観た『ヴィーナス』の私の感想