コルネイユ『Birth of CORNELIUS』 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

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ルワンダの貴公子コルネイユ…
のつもり
なんかコワーイ…


【注意】 コルネイユはオトコマエです。

2005年の夏の終演頃から、
ずっとずっと追っかけてたルワンダ出身のアーティスト、
コルネイユが ついにワールド・デビュー。
『Birth of CORNELIUS』。
英語ではコルネイユではなく
コーネリアスと発音するらしい。
私が彼を追っかけるようになった経緯については
以下の過去記事を参照いただくとして~。

 ●ルワンダのアーティスト
 ●ルワンダのアーティスト2
 ●ルワンダのアーティスト3

ここに至るまで2年余り、
紆余曲折経て、ようやくの結実、
とにもかくにも日本でも
彼のアルバムが入手できるようになったのだ、
かなり喜ばしい!!!
もちろん、私の手元にもあります。
初めて聴いた夜、
涙腺 ぶっ壊れ。

英語で歌われる歌詞、ポップなメロディ、
それまで知っていたフランス語のコルネイユとは
ひと味違って、ソフトに流れる感触。
最初の印象を正直にいうと、戸惑いだったかも、
けど、最後の方に収録されている
『ア・マン・オブ・ディス・ワールド』を聴いたとき、
とんでもなく胸振るえてしまった。
声から彼の叫びともとれる響きを感じたので。

そこで訳詞を広げてみると、
「肌の色をめぐってみんな大騒ぎ
 誰もがどこかに属さずにはいられない」
この歌には彼のルワンダでの境遇と
歌手活動を始めたカナダでの成功、
愛する伴侶と出会った現在、そして、
戦争や人種差別への悲哀が込められている。
コルネイユの切ない高音に
とんでもなく同情してしまった私。
嗚咽号泣・・・。彼の声には
はかり知れない憂いが含まれてる。

落ち着いて訳詞を全部読んでみると、
ある一節に目がとまった。
「僕の名前のルーツ」。

どうやら、コルネイユという名前は
欧州では貴族の名前として特別のものなんだそう。
これについては『Birth of CORNELIUS』の
ライナーノートを執筆されている松尾清さんが、
ご自身の深夜のラジオ番組で
コルネイユの特集をされたときに語られたもの。
氏のお話によると、
「コルネイユ」という名前の黒人がデビューした、
このことは かなりの衝撃を持って世間に
特にフランスでは認知されたとか。
その驚きは日本人には なかなか理解しにくい事実である、
松尾さんはこんなふうに話されていたと記憶する。
ちなみにコルネイユの名前は本名。

実際、コルネイユはルワンダの中にあっても、
裕福で恵まれた環境に育った。
とりわけ音楽においては
アメリカのチャートをリアルではないまでも
聴ける環境にはあったそうだ。
これはエリートな父親の特権によるものらしい。

が、ある事件によりコルネイユの環境が全て奪われてしまう。
ルワンダ大虐殺。
家族を目の前で皆殺しにされ、絶望の淵に立った彼。
救いの手を差し伸べたのは、歌だったのだろう。
ルワンダを離れ、アーティストとしてデビューし、
フランス語圏では絶大な人気を獲得したコルネイユ。
が、成功の裏には黒人に生まれて育った故の苦しみ、
そして私自身も抱えている「自分は何者なのか」
という問題意識、そこから逃れることはできないのだ、彼は。
もしくは、私は。人間は。

松尾潔さんの執筆によると、
英語圏外から英語マーケット(世界マーケット)に参入し、
世界規模で成功を収めたアーティストは数少ないが、
コルネイユの英語盤デビューには
期待しても良いのではないか、とのこと。
はい、同感です。私自身も期待しておりますよ。
英語盤の彼の楽曲は、女性への愛をテーマに掲げているが、
その影には人類愛が潜んでいる、
彼の美声は多くの人の心を掴むに違いない。

フランス語で聴いたコルネイユよりも、
英語盤デビューの『Birth of CORNELIUS』は
甘くてメロウだ。けれど、
スティングにも通ずる視点の確かさが感じられる。
はたして、コルネイユは才人として世界デビューした。

なお、松尾潔氏の文面には
映画『ホテル・ルワンダ』が署名活動を経て
日本公開された事実が記されており、
本作のストーリーを引用されている箇所がある。
映画の公開を支援していた身として、
懐かしさと共に強い喜びを感じずにはいられなかった。


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