青い炎 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


『青い炎』
心の奥底に燃えているのは、
赤い炎じゃなくて青いのかもしれない。
私の炎も青白くユラユラと不確かで・・・。


東京経済大学で開講されている、
『身体表現ワークショップ』に行った。
主催・・・いえ、首謀者は粉川哲夫センセイで
この日の講師はパイロアーティストの山崎望さん。
粉川センセイは私の映画の師でありますが、では、
パイロアーティストとはなんぞや???
それは、私の解釈が間違っていなければ、
「炎の演出家」ですね。
時に花火職人であり、イベントの舞台演出家あり、
炎を魅せる芸術家でもあると。

久々のワークショップ参加となった金曜日、
遅れること30分。教室をうめているのは
当然のこと学生ばかり。私が教室に入ったとき、
山崎さんと粉川センセイの一問一答形式による、
パイロアーティスト・山崎さんの
プロフィールが語られていた。
途中参加の私でも分かりやすい内容で、
山崎さんは、なんと火薬を知るべく
自衛隊に2年も籍を置いてらしたとか!

そのあと、火薬や花火についてを学ぶべく、
山崎さんから「花火」と
「火薬ショー」の映像をご紹介いただく。
教室には大きなスクリーンがあり、
そこで日本の伝統的な花火職人の成り立ちと、
花火がどのように世界で用いられているかを観る。
すごい! と思ったのがフランスの花火ショー!
街全体が花火の会場になってる!
音と花火が一体になってる!
それと、忘れ難いのが幸せそのものの観客たち!
花火を観ながら抱き合うカップルや家族の、
その恍惚たる表情には感動した。
「炎」はこれほどまでに人を興奮させるのですね。

そして、いよいよワークショップはメーンイベント。

実際に仕掛け花火を学校構内に仕掛け、
どどーんと打ち上げる! というわけで、
山崎さんの指導にしたがい、
導線を結んだり、火種を仕組んだり、
地面に杭を打ち込んだり。
もちろん、学生ではない「もぐり学生」の私も
「それ やりたいっ」と率先して仲間入り。
さすが! と思ったのが山崎さんの統率力。
所在無げに立っている学生たちを
上手に動かせるコントロールの良さ、それに
適度なハッパのかけ方で、いつの間にやら、
場にいた30人ぐらいの役割が決まっていった。
これは現場で勝負する人間ならではの指揮っぷり。
現場監督って、こうなんだ~。

なんやかんやと、打ち上げ準備に携わること3時間余り。
ようやく空が夕闇色に染まった。よし! と
最終チェックを山崎さんがPCで行われた後、
いよいよ点火! カウントダウンが始まる!

5.4.3.2.1....ゼロッ!!!!☆

パパパパパーン☆

5つの花火が天上へ向けて駆け上がり、
やがて、5色の炎が次々に点火、
赤、朱色、青、緑、黄色!!!!
おおっ! と目を見開いていると、
終演の銀色の紙吹雪が舞い上がる・・・・
パンパンパーン☆

「わーっ!」沸き上がる歓声と拍手。
時間にして20秒足らず、だった。
瞬く間の、炎の乱舞。
このわずかな歓喜のために、
汗だくになって山崎さんは指揮をとり、
私たち束の間の門下生はセッティングをしたのだ。

きっと、どんな仕事でも同じ、
私の生業の絵にしたって同じなんだな。
ほんの一瞬のために、
どれほどの研磨と努力が必要なのか、
再認識できた瞬間。

悔やまれるのが、打ち上げの様子を
ムービーか写真で残せなかったこと。
でも、ま、肉眼でしか捉えられない感動だったし、
そんな時間もなかったんだけど。

さて、祭りが終わって、後片付け。
ほどなく構内が日常に戻ったのを確認すると、
学生たちは 「ありがとうございました」
と山崎さんに声をかけ、散り散りに消えていった。
私はその場を去り難く、
山崎さんに思い付く端から質問攻め。
気付くと、山崎さんをグルリと囲んで
興奮覚めやらぬ人の輪ができていた。が
そこに学生の姿はなし。粉川センセイと
大学の職員さんらしき方々と東経大卒業生。
つまり、社会人ほど「遊び」を楽しんだわけ。

そんなわけで、
観たかったカウリスマキ特集は行けずに終わったけど、
かけがえのない炎に出会えた。
山崎さんの熱意、花火、そして7色の炎。
なかでも青い炎の、独創的な揺らめき。
ガスコンロの青い火とは まるっきり違う蒼には、
情念のようなものを感じた。
叶うなら、山崎さんが演出される7色の炎と
私の『タロットのための絵』が共演できればいいな~。
なんてことを今宵の七夕にはお祈りしてみようか、
見事に今年も曇り空ですが。

ちなみに粉川センセイのゼミは
10月から後期が始まります。
ご興味ある社会人のみなさま、ぜひ御参加くだされ。


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