それでもボクはやってない |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


『監 獄 街』



こういう社会派の映画を
久しく観ていなかったから、
待ってました! とばかりに観に行く。
期待通りの匠っぷり。大満足。

現行社会から、すぐさま不条理を切り取り、
自己の手腕で映像化。
まず原作ありき、ではなく、
オリジナルとして映画を制作するという
大いなる姿勢に敬意を。
こんなスタイルが、近頃はすっかり薄れていたぶん、
周防監督の正義感には頭が下がる。
また、故・伊丹十三監督のお得意芸だったウンチクを、
おもしろおかしく展開できる技量もすごい。

圧死しそうな満員電車で痴漢に間違えられ、
現行犯逮捕される“ボク”の悲劇。

“ボク”が出会う初めての経験は
それを観る私たちも初めてのことばかり。
映画の進行と同じくして、
観る側は“ボク”に同化される。
知られざる「オリの中」や「裁きの場」が
リアルに再現されればされるほど、
妙な笑いが私の中で込み上げてきた。
きっと、ホントに変なんだなぁ、
日本の裁判制度・・・いや、
日本という国家そのものが変なんだ。
といっても陪審員制度って、大丈夫なんだろーか?
そのとき私は・・・? たくさんの疑問に包まれる。

アメリカでの試写でのこと、
笑うところではない場面でで
笑いの渦となった、というニュースがあったけれど、
どこだろう、笑いのツボが多すぎる。。。

映画を観終わった私の“ボク”への判決は、
『どうみても無罪』だった。
映画を観た他の人は どう判断したんだろう?
こう考えたとき、
まてよ・・・と思い直す。
「痴漢の被害者である女子高生の視点」
で映画を作ったなら、また別のウンチクが語れるだろう、
同事件を彼女の視点で考えれば、
もしかしたら『有罪』になるかもしれない。
いったい、公平な裁判って 有り得るんだろうか?
このヘンテコ縦割り組織の日本の裁判システムで。
いっそ裁判所の民営化とか・・・?

痴漢以前にヘンテコなのが、
圧死寸前の満員電車。
映画の中に、こぼれ落ちるほどの車両へ
無理矢理“ボク”を押し入れた駅員がいた。
そんなシーンを私もこれまでに、
何度かテレビニュースなどで見かけたことがあるけど、
あの行為も犯罪ではないのか。
彼や鉄道会社を訴えることはできないのかな。疑問だー。
それに異常な満員電車に無対策な、
国や地方自治体は罪に問われないのかなぁ~。

できれば、これらの“おバカな疑問”にも
言及してほしかったナ、アホな私のために。



★★★★★★☆ 7点満点で6点
母親役の もたいまさこさんは別にして、
女優陣が周防作品から浮いていたような?
蘭々ちゃんも、瀬戸さんもケバイ。
これって、“ボク”や“ボクの男友だち”の
純な部分を際立たせるためのキャスティング???

~2007.1月 歌舞伎町トーアにて観賞~

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