王と鳥 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


For Folon "The kings "


影響を受けた人物は・・・というと、
5*SEASONというクリエーターの場合は
フォロンというベルギーの作家だと思っている。
彼はイラストレーターでもなく画家でもなく
“フォロン”という独自のスタンスにいた人で、
私は彼の作品を目に留めなかったら、
絵を描いて生活するという今の状況ではなく、
もしかしたら別の道をチョイスしていたかもしれない。

私は絵を学校で勉強したこともないし、
師匠がいるわけでもない。とにかく自力、体当たりで
今のようなパステル画を描くようになったが、
ここへ着くまで私はフォロンの模写を
何度も繰り返したことがある。だから
当時の私の絵ときたら⋯模写だから当たり前とはいえ、
もろフォロンのパクリ。ハンコで押したみたい同じ。
フォロンの絵を机の前に置いて、
それを見ながら描いてたんだから当然だけど、
もし、当時の作品をオリジナルとして発表してたら、
あたしゃ著作権侵害という辱めを着て、
卑屈な創作人生をおくってたかもしれない。
が、さすがに自尊心が それを許さず、
私なりの画風を手にするまで、秘かに描きつづけ、
やがて変化が、そうして今に至る⋯わけで、
いわばフォロンの作品は私の原点であり、
敬愛すべき師匠でもある、というわけ。

あの絵。私が描いた“物真似フォロン”、
どこにいったかなぁ、まだ あるかな・・・
実家の押し入れにしまっておいたけど
母親が処分したかもなぁ・・・・

なんて、原点回帰したくなったのは
8月の終りに観たフランスのアニメ『王と鳥』のせい。
この映画、スタジオジブリの原点だそう。

なるほどなるほど。
ジブリ・モチーフが天弧盛り!
さすが彼らも「原点です」と言い切ってるだけに
まぁ出てくるわ出てくるわジブリのネタ。
『ラピュタ』も『ルパン・カリオストロ』も
『ナウシカ』も、他諸々も小ネタとして
あっちこっちに散らばってる。
あれがン年後に ああなって こうなるんだ~と
ジブリのネタ帳を観られたのは、かなり楽しかった。

真似はどこまでいっても真似、
トレースをしているだけでは真似以上にはならない。
が、ひとり歩きを覚え、真似が独自の物になったとき、
本家以上になる。背負った子に教えられ~。

もちろんフォロンの真似ではないよ、
今の5*SEASONは。


★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
ディズニーのそれとは一線を画した風刺アニメ。音楽がいい。
美しい絵や構図や台詞や詩が散らばってる、断片的に。

この作品が『やぶにらみの暴君』として公開された1950年頃、
アニメ界に多大な影響を与えたらしい、というのも納得。
その後、いろいろあってラストを作者自らが改訂し、
50年後の今年、日本で初上映されたのが本作『王と鳥』。
しかし、物語りとしてはどうか?
短い詩集というスタイルのアニメーションだとしても、
いまいち散漫で、軽い印象しか残らない。
この作品を観る前に、ストーリーテラーとして完成された、
数々のジブリ作品を観てしまっているせいかも⋯
いえ、そうだろうなぁ、きっと。
でも、けっして時代遅れの古くさい作品ではない。
むしろ新しい、のに、チグハグな感じ、
創り放題、小ネタ流れという印象。

あと、同じ日にソクーロフの『太陽』を観た。
どちらも一国のトップにいる人物が主人公で、
後で観たのが こちら『王と鳥』。
一方はアニメでファンタジー、
片や実写で史実、手法は違うが
先に観た『太陽』が後を引いていたことは否めない。

シネマ アンジェリカにて観賞~






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