太っちょ泥棒のラブライフ |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


『フトッチョ・イス』


どうやら私は、角ばったものよリ、
丸いものの方が好ましいらしい。
その証拠に永い間、
私は定規で引いた直線を
絵の中に描いたことがない。
ヒトを私のセンスで捉えた場合も、
同じなんだと、少し前に気付いた。

おそらく私は痩せている人よりも
太った人を描きたいのだ。たとえば、
クッションのような
ふんわりしたものに安らぎを求める、これが
人という生き物ではないかと私は思う。
ちょうどルノアールや
一時期のピカソが描いた貴婦人たちが
豊かな肢体を画面で誇っているように、あるいは、
母神のごとく和やかな面差しを描いてみたい。

が、極端に太った人、無駄に脂肪が多い人は
スレンダー体型が もてはやされる
現代の流行りとは まったく逆行した少数派で、
かくいう私だって すすんで太りたいとは思わない。
なのに好んで太った人を描くだなんて、
まこと身勝手な話だと思わなくもない。

こういう我がままは、蛙の絵と似てる。

絵に描いた蛙は可愛いと もてはやされるが、
実際の“生き物の蛙”は
ヌルヌルして気持悪いなどと多くの人が嫌う。
この身勝手さ。
こんな人の心のウラハラな部分を
魅力的な“生命”として描けたなら⋯
作り手は魔法使いになったも同然だ。
いつか、「5*SEASONマジック」にかかる人が
世の中に増える・・・!?

『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006』
『太っちょ泥棒のラブライフ』という
スウェーデン映画を観ながら、
そんな戯言を思った。



★★★☆☆☆☆ 7点満点で3点
コンプレックスに悩む太ったスリが
亡くなった妻の幽霊と
新しい彼女の間で揺れに揺れる
というコミカル・ファンタジー。
太った主人公が可愛く見える点は良いけれど、
たくさんのエピソードが未消化で、
いまいち盛り上がりに欠けた。

日本文化にハマっている女性の部屋が
ジャポニズムに溢れていたのが興味深い。







●『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006』サイト