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『フトッチョ・イス』
どうやら私は、角ばったものよリ、
丸いものの方が好ましいらしい。
その証拠に永い間、
私は定規で引いた直線を
絵の中に描いたことがない。
ヒトを私のセンスで捉えた場合も、
同じなんだと、少し前に気付いた。
おそらく私は痩せている人よりも
太った人を描きたいのだ。たとえば、
クッションのような
ふんわりしたものに安らぎを求める、これが
人という生き物ではないかと私は思う。
ちょうどルノアールや
一時期のピカソが描いた貴婦人たちが
豊かな肢体を画面で誇っているように、あるいは、
母神のごとく和やかな面差しを描いてみたい。
が、極端に太った人、無駄に脂肪が多い人は
スレンダー体型が もてはやされる
現代の流行りとは まったく逆行した少数派で、
かくいう私だって すすんで太りたいとは思わない。
なのに好んで太った人を描くだなんて、
まこと身勝手な話だと思わなくもない。
こういう我がままは、蛙の絵と似てる。
絵に描いた蛙は可愛いと もてはやされるが、
実際の“生き物の蛙”は
ヌルヌルして気持悪いなどと多くの人が嫌う。
この身勝手さ。
こんな人の心のウラハラな部分を
魅力的な“生命”として描けたなら⋯
作り手は魔法使いになったも同然だ。
いつか、「5*SEASONマジック」にかかる人が
世の中に増える・・・!?
『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006』で
『太っちょ泥棒のラブライフ』という
スウェーデン映画を観ながら、
そんな戯言を思った。
★★★☆☆☆☆ 7点満点で3点
コンプレックスに悩む太ったスリが
亡くなった妻の幽霊と
新しい彼女の間で揺れに揺れる
というコミカル・ファンタジー。
太った主人公が可愛く見える点は良いけれど、
たくさんのエピソードが未消化で、
いまいち盛り上がりに欠けた。
日本文化にハマっている女性の部屋が
ジャポニズムに溢れていたのが興味深い。
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●『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006』サイト