事の次第 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

事物たち

The Way Things Go


映画ではなく、インスタレーションですが、
整理の都合上、乱暴にも
「か行の映画」へ割り振ってしまいます。
その作品は『The Way Things Go』。
邦題が『事の次第』とされている30分の映像で、
作者はふたりのアーティストによるユニット、
「フィッシュリ&ヴァイス」。
メディア評論家の粉川哲夫先生の講議へ行ったとき、
全30分の中から わずか5分程度を
講議の教材として観せていただいたところ、
瞬くのも忘れて集中してしまった。すごいんです、これ。
いわゆる巧妙な「仕掛け」で、計算づくの連鎖表現。
物理、化学が大好きだという理詰めの人々を、
私は思いっきり尊敬します!

吊り下がったゴミ袋がクルクル回って伸び縮みし、
やがて隣のボールを押し出す。ボールは転々と板を走り、
次の別の物質と衝突し、新たなモーションを誘う。
アーティストが仕掛けた物体は
タイヤ、はしご、泡、液体、マット、紙コップ、
物と物が次々にコケる、火を噴く、回る、壊れる、
そうして どんどん繋がる、綱渡りのように。
映像は静寂、なのにアーティストの実験室は
煙りと悪臭と物の音で 熱を帯びている。
カメラマンは水中メガネと防臭マスクをしてるのかな?

一個の物体の結果が、別の一個の始まりを招く。
結果が原因に、計算された意志を理論づくしで30分。
全編中、一ケ所か二ケ所、映像を繋いでいるそうだが、
いわゆる長回しのカメラワーク、一発勝負。
そこらへんはドミノ倒しや将棋倒しと似てるけど、
動線が直線やカーブだけではないし、
同一の連続モーションでもない、さらに
まったく関係性のない大小 様々な物が接触することから、
ドミノや将棋が倒れる それとは一線をかくす。
ただ、コンサートなどで熱狂したファンが
将棋倒しになる様子とは少し似てるかも。
このインスタレーションを創った作者には、
物に対する愛情がある、映像から それが滲み出てた。

不安定で滑稽で馬鹿馬鹿しい実験アートだけれど、
ここに もう少し手を加えると“映画”になる。
“チラ見の5分”だというのに この作品は、
映画という表現が生まれる前夜のような興奮をくれた。
では、映画と称されるために
「もう少し手を加えるべき」要素とは いったい?
それは・・・アレ。

私も映画的に制作したいと思っているので、
『事の次第』はいい刺激をくれた。でも
全編 観たいような、観なくてもいいような、
それがアートという名の元にある、
インスタレーション=仕掛けなんですかね。

☆“チラ見5分”なので7点採点はなし ☆


◆ カ エ ル 展 開 催 中
5*SEASONも参加しています
6/19(Mon) まで 東京・代官山アートラッシュにて
TEL 03-3370-6786 ●詳しいお知らせはこちら




●粉川哲夫先生の『シネマノート』

 DVD『Way Things Go』 ~事の次第~