何でもツッカー |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

つ~かぁ、ツッカー?

イントロ部分の、
デザイン処理された“走るオッサン”がいい。
思えばドイツの雑誌や雑貨も かなりセンスいいし、
ドイツは機能と生産性をかかげながらも
芸の追求も忘れない、そんな お国柄かな。


久々の「な行で始まる映画」。
がんばれよーな行!

昨日観た“オッサン讃歌3作”の中では、
これが一番あたしには おもしろかった。
なんかこれハリウッドが観たら、
リメイクしたがるような気がする。
脚本がいいし、構成も さりげなく凝ってるし。
といってもエンターテイメント性は低いけど。

登場人物はクセの強いヤツばっかりだし、
さしたる大逆転もないし、ハラハラ感もなく、
うっとりするロマンスもない。
主人公は、やさぐれたオッサンで、賭事に狂ってて、
嫁からも 子どもからも見放されてる。
うだつは上がらないし、見てくれも悪い、
そんなオッサンが あれよあれよという間にカッコよく…
“オッサン讃歌”というジャンルは こういうこと。

平凡なオッサンがココぞというところで、
めちゃくちゃ輝く姿をしっかり捉え、
「名声も名誉もいらない」と賞賛する。ある意味それは、
名声と名誉を手に入れた人間が憧れる対象で、
“オッサン讃歌”を演じるのは、
真のスターであればあるほど観る側に強く、
人生のなんたるかを説くのだ、と思う。
この映画に登場するオジサンもオバサンも、
渋みのある いい演技だったことを思うと、
きっとドイツでは大人に指示される、
押しも押されぬスターの競演作ではなかろうか。

『何でもツッカー』は、
身の丈をわきまえてるところがいい。
それは特に 笑いについてで、
映画は間違いなくコメディーだけど、
笑わそうとしないところが いさぎよく、
オチを仕掛けたり、コネくり回したりしないところで、
結果的にフフ と笑ってしまう。

前々から思っていたことだけど、
ドイツ人と日本人は性質が似てる。
冗談が下手なところや遊び下手なところ、
手先が器用なので、驚くような技を生むところや、
母国語が堅苦しいところ。
ほれ、日本語もロックやオペラは
英語や仏語に比べると ちょっとノリが悪い。
ドイツ語も同じで、メロディーに乗りにくい言語なので、
両国は英語や仏語にコンプレックスが間違いなく あるはず。
だから真面目に徹する、という姿勢が一番“らしい”のだ、
変に大爆笑を狙うなかれ。

もう1点似てるのは
帝国へ陥り、近隣諸国から嫌われまくった歴史。

ドイツという国は、そういった帝国主義や
東西分裂といった暗黒の時代と、
きちんと向き合おうとしている、ようにあたしには見える。
日本と違うのは、ここ。
そりゃ、今年は戦後60年の伏し目とかいって、
これから日本でも「戦後映画」が何本も公開される、
けど、近隣諸国と未だに折り合いがつかず、
かえって険悪になった事情が 浮き彫りになったわけで、
「隣国に嫌われたままの人」が作った作品なんて、
どうなん? と、しみじみ思う。
ドイツの方が日本より毅然としてる。
日本よりドイツの方が 絶対に かっこいい、

きっと ドイツからは今後も、
“旬な映画”がドンドンやってくるだろう。
今年公開予定をあげると、『青い棘』、
『ヒトラー~最後の12日間~』、『愛より速く』等々。

ちなみにタイトルの“ツッカー”とは
主人公のオッサンの名前で、
日本人は携帯メーカーの
ツーカーを思い浮かべがちだが、
携帯とは まったく無関係で、映画にも出てこない。
お客さんの方も携帯不携帯の人が多かったようだ。
というのも見たところ、
50代後半から60代の方が大半だった。

映画の上映が終わった直後のこと、
ロビーへ人が いっせいに流れ出したとき、
公衆電話が えらい繁盛してた。
なんと行列まで出来ていて、
ずいぶん懐かしい風景だなぁと見たものの、
考えてみたら、ほんの5年程前は当たり前の風景だった。

公衆電話の行列を見たおかげで、客席の外と中が
日常と非日常に きっちり分けられていた気がした。
ちょっとタイムスリップしたみたいだった。
 つづく
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相方へのつっこみ本日分
本屋の雑誌売り場をのぞいてみたら、
若貴兄弟の話のオンパレード。
テレビも連日、そうなんやろなぁ。
あたしゃ若貴よりも、むしろ
ふいに思い出したんやけど、
加瀬大周という役名を争ったふたりが
その後、どうなったか気になるねん。

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