ベルリン, 僕らの革命-3 携帯改革 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

持ちすぎタワー


「儲けすぎだ!」と言って、
『ベルリン, 僕らの革命』の彼らは
家具を積み上げた。あたしの場合は、
友だちの携帯電話かな。しかし、
こんな風に積めるのかぃな。


映画『ベルリン, 僕らの革命』の中で、
20代の「エデュケータズ」と50代の企業経営者が、
同じテーブルで対論する場面がある。
ここで、20代の彼らは社会は かくあるべきだと
理想を唱え、50代は「現実をみよ」と世の理屈を語る。
あたしの日常にもよくある場面で、
このとき、あたしはどちら側にいるかというと、
「エデュケーターズ」の側。呆れるべきか、幸福なのか、
あたしときたら「Tシャツ洗いざらし時代」から、
ほとんど思考が変わっておらず、対論の席上で、
「君の話は理想にすぎない、現実をみよ」
と諭されることになる。
が、あたしは、これからも ずっと理想を唱えたい、
人を幸せにするものは金銭だけではなく、
許し合い 分かち合える他人が存在するか どうかであって、
社会に必要なのは繁栄よりも、むしろ共栄だと。

話はそれるけれど、思うに、
あまりにも お金にまみれてしまうと、
人間らしい感覚が麻痺してキチガイになるのだろうか。
時おり、ヌケヌケと こんなボケを ほざくヤツがいる!
「世界平和のためには、
 戦争はあってしかるべきだ、
 増え過ぎた人工を戦争で排除してこそ、
 世界経済は安定するのだから
 文明発展のためにも戦争は必要である」
アホかっちゅうの。
そんなアホな話が、人類が目指す理想として まかり通り、
そこへ向かうために明日という未来がやってくるのなら、
あたしの生きる場所は もうないということで、
過去に向かって生きるしか道はなくなってしまう、
だから、あたしは あたしが思う理想像を論ずるし
けして止めることはないだろう、
「戦争賛成」だなんて、口が裂けても絶対に言わない。

話を映画のシーンに戻すと、
20代 VS 50代の対論で、こんなセリフが出てくる。
「革命は個人から始まる」。
もしかしたら、革命という言葉ではなく、
改革か、変化だったか、そこらは定かではないが、
「個人から」という考えには あたしも まったく同感。

ここで先日、有明で行われたK-1を一緒に見た友人の話。
プレミア・チケットを あたしにくれたのは、
10年来の友人で、某企業の社長さん。
友人は関西在住で、あたしよりグンと年上の男性。
彼が仕事で東京へ来たとき、共に食事をしたり、
お酒を飲んだりしている仲で、
彼は自分の事を「勝ち組」と言って はばからない。
実際、彼はここのところ、めちゃくちゃ景気が良く、
負ける気がしないとかで、遊びもメッチャクチャ派手で、
そんな彼をあたしは
「一人バブル」と呼んで茶化しているが
彼にすれば あたしのような
「家にTVがない、携帯を持ったことがない」
という人間は まったく理解できないようだ。
なんぜ彼の方は6個も携帯を持っているんだから!
そんな彼は常々、こんなことを あたしに訴えていた。
「お願いだから携帯持って! プレゼントするから!」
それを「電話は家にあるから必要ない」
と、あたしは ことごとく突っぱねて来たわけで、
つまり、ふたりの価値観は180度違う。けれど、
会えば話は弾むし、時間はあっという間に過ぎていく。

そんなこんなで、K-1当日のこと、
チケットがあたしの手元になかったので、
席上で待ち合わせることができないため、
どこで待ち合わせするべきかと相談した結果、
では有明コロシアムの前で開始30分前に、
と あたしが提案したところ、
友人は不安で不安でたまらない様子。
「会えるのかなぁ。そっちは携帯持ってないから不安だ」
「大丈夫 大丈夫、かならず会えますって」

ところが約束の時間を過ぎても、友人は こなかった。
人はワンサといるし、どこかですれ違ってしまったか、
それとも何か変わったことでも あったのか‥‥
さすがに あたしも 途中で ちょっと不安になったが、
まぁ なんとかなるだろうと会場前をブラブラすること30分、
そうして、K-1が始まる予定時刻を過ぎた頃、
ようやく友人の後ろ姿を 遠くに確認!
だだーーーーーーっ と走って行って、
わっ!」と背後から声をかけると、友人は
「うん‥‥うん‥‥」と首をふりながら こう言うのだ、
「‥‥タクシーの運ちゃんが頼りないヤツで、
 道に迷ってしまい、時間に遅れてしまった。
 『僕の友だち、携帯持ってないから急いで!』って
 わーわー言ってたんだけど‥‥」
「ま、無事に会えたからいいじゃないですか!」
K-1のことで 期待が いっぱいだったこともあって、
私はニッコニコ笑ってた。それとは対照的に
神妙な顔をして、黙ってしまった友人。

K-1が終わった後のこと、友人のおごりで、
築地の寿司屋へ行った。ビールを飲み、咽が潤ったところで、
それまで ずーっと神妙な顔をしていた友人が口を開いた。
「携帯持たない人って、逆にカッコイイな」
え? と驚く あたし。友人は つづける、
「僕はね、遅れちゃいけない、待たせたらいけないって、
 タクシーの中で必死だったのに、
 いざ到着して会ってみたら、何ごともなかったように、
 ニコニコ笑って背中を叩かれた もうびっくりして…」
どうやら彼はあたしに叱られると思ってたらしい、
けど あたしだって彼の口から、
「携帯不用論」という意外な言葉が出て来たから
びっくりした、だから あたしは こんな話をした、
「仕事のお付き合いで待ち合わせしていたなら、
 あたしも必死になって公衆電話を探した」こと、
「たまに会えない方がいい。
 そしたら、次から会えるように工夫するから。
 工夫することが大事」ということ、
「携帯電話がない時代も うまくやってたんだから、
 今だって携帯を持たなくても十分やっていける」、
「携帯を6個も持っている人間がいて、
 一方ではひとつも持たない人間がいる、
 これで世の中のバランスとれる」こと、そして
「携帯さえ持っていればなんとかなる という考えが
 一番 短絡的で嫌いだ」ということ。
もちろん寿司屋での話題は携帯電話のことだけではなく、
互いの仕事や将来について、そして日本の未来について、
あたしらはペチャクチャと話してた。

そして、後日。
あの友人からメール。いつも電話なのに珍しい。
件名が『お金より大事なものがあります』だったので、
一瞬、スパムメールかと思って躊躇するも、
とりあえず開封、目を通した。 すぐに笑ってしまった。
「あなたは一生 お金持ちにはなれません。
 私は あなたと一緒にいると、
 私が信じてきた今までの価値観が壊れます。
 でも、お金より大事なものがあるのですね。
 お金持ちにならなくてもいいですから
 ずっと 変わらず、そのままでいてください。
 美味しい食事の支払いは、今後もずっと私が持ちます」




やたっ♪

次は、うなぎでもご馳走になるかーっ!

きっと、個人レベルでいい、小さな改革でいい。
どちらが正しいということではなく、
「他人の話に耳を傾ける」ということが重要なのだ。
もちろん、「エデュケーターズ」のように、
具体的に行動を起こすことも大事だけれど、
まずは対話する、同じテーブルにつくことが、
素敵な時代を作るだろうと、あたしは信じてる。

映画『ベルリン, 僕らの革命』は今年観た映画の中で、
いちばん好みのタイプ。青春物ではありますが、
どの世代の人も、何かを感じて映画館を出られるでしょう。
しかし、あたしが観た回では、
隣に座ってた20代と思われる3人組が、
「説教臭い映画だな! 特に あの話し合いはダりぃよ」
だそうです‥‥。けど、こういう層もいないとダメ、
みなが同じ感じ方をするように強要される社会、これこそ、
もっとも卑劣で恐ろしい事でしょう。

★★★★★★☆ 7点満点で6点
映画が始まってタイトルが出るまでのイントロ部分が
ハードでロックで壮快に決まった! って感じ。後半、
舞台が田舎の山小屋に移ってからペースはユッタリ、
最後の最後に流れる曲『ハレルヤ』が素晴らしい。
欲をいえばドイツの情勢を、
もう少し盛り込んでも よかったかも。
結末は‥‥二通りの捉え方が出来るようになってる。
ビデオ撮影なのか、画質が粗いがリアル感は増した。
もう一度 観てみたいと思う映画だ、
革命精神を培うためにも。

ちなみに、K-1の友だちの携帯は
6個から5個に減ったそうです。小さな変化や~。

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コマ犬の相方・でこ情報
二の腕の「筋違い」という難病に勝てず、
アホ臭いことが考えられない模様です。
ここは一発、開運グッズに頼るしかないか‥‥。
フクロウの置き物、気に入ってくれたらええけど。

●安眠できず目の下に熊がいる猛犬・でこのブログ