モニカ・ベルッチのダンナ |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

『スパイ・バウンド』で自転車野郎に変装したヴァンサン。
「長髪に帽子」という基本中の基本の変装に
ちょっと笑ってしまった。重いトーンの映画の中で、
数少ない笑える場面という狙いだったのかも。
この後、彼は復習に走ってしまうけど‥‥。
似てると思った『ベルヴィル・ランデブー』の
競輪選手の息子には今回の役は 似てなかった。


↑上のイラストのヴァンヴァンが現れたとき、
あたしゃベイシティー・ローラーズの
デレクのことを思い出してしまった。
馬ズラのデレク、鼻の大きなデレク、
デレクは今いずこ? 元気かい?
時を遡れば、ベイシティー・ローラーズ華々しき頃、
あたしはヤツらのファンではなかったけれど、
イアンだ、レスリーだ、いやパットだと
世の女の子が目の色をかえて、
キャ-キャ-と大騒ぎしてたのは覚えてる、
が。顔の長い馬ズラのデレクが好きだという人種には
一人として、あたしはお目にかかることはなかった。
そのデレクにヴァンヴァンは似ていたのだ、
変装しているとはいえ、あたしは日本でのヴァンヴァンの評価が
「モニカのダンナ」と軽く まとめられてしまうのも
致し方ないことだなぁと、溜息ひとつ。

長い顔の馬ズラは、まず日本ではウケない。
が、ヒットを狙うには、まず女性にウケねばならない、
そのためには長くて角張った顔より、
丸みのある“クマのぬいぐるみ顔”でなければ!
韓国の「ペ」様なんか、そのお手本やもんね。
でも実は、あたしはというと馬ズラが好みのタイプで、
マイナーなギタリスト鮎川誠なんてもう、アータ、
たまらんほどの馬っぷり、腰からメロメロなのだ。

そんな中。
ヴァンヴァンの場合は馬は馬でも ちょっと違う、
馬には違いはないが、ホントに不思議な話、
馬が違って見える。なにがって、
つまり顔が変わるのだ。
1本の映画の中で、ヴァンヴァンの顔は長かったり、
実は そうでもなかったり、
まるでゴム毬のように顔が伸びたり縮んだり。
で、今さらながら、
ファンの あたしが いうのもなんなのだけれど、
ヴァンヴァンは全く美男子ではない。
でも、あたしには そこがたまらない魅力なのは確かで、
そんなヴァンヴァンが15分に1回ぐらいの割り合いで、
とんでもなく男前に映ることがある!!
それは不意に、一瞬だけ やってくるから、
ドキッと頭に焼き付いて離れない。
もしかしたら見間違えかと思うほどで、
「え? 今の男前は まぼろしかっ?」と、
もういちど「ヴァンヴァンが男前に見える瞬間」を
待ち焦がれてしまう。

ある人物がとても気になる理由や言い訳、
それは 人それぞれに最もらしいものがあるだろうが、
あたしがヴァンヴァンを気にかけるのは、
おそらく意外性に ほかならない。
飽き症の あたしが、かれこれ7年も、
ヴァンヴァンを飽くことなく見愡れているのは、
心地よく裏切ってくれる意外性。
『スパイ・バウンド』のヴァンヴァンは、
少し体重を増やし、お腹も ちょっと出っ張らせ、
髪の毛にも白いものを混じらせていて、
実年齢よりフケたスパイ役。
かと思いきや、そこはスパイ役たるもの、
顔も肌艶も、劇中クルクルと変化するし変装もする。
一番ドキッとしたのは、ヴァンヴァンが
その目に憎しみを滲ませたとき。
なぜだろう、この人の目には憎しみが似合う。
思えば、あたしがヴァンヴァンに落ちたのも
奇遇なことに『憎しみ』というタイトルの映画だったし、
きっと この人は、こんな目で人も愛するのだ、
憎しみと愛は同じラインに位置している。

そうして、「モニカのダンナ」と評されるのは、おそらく
“カワイイものが好き”な性分で、とかくブームを作りたがる、
わが日本だけではないかと考える。
『スパイ・バウンド』でヴァンヴァンが,
共演しているモニカに向けたセリフに こんなものがあった。
「きみはスパイを止め、結婚して、
 子どもを産むだけのブタになるのか」。
あたしの想像。
私生活では「はやく子どもが欲しい」だったのでは?
昨年秋に生まれたという、
愛娘のデヴァちゃんは いったいどんな娘に育つんだろう、
ヴァンヴァンとモニカの最高傑作、往く末が楽しみ。

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余談・デレクの話
高校に入学して、すぐのこと、
あたしのクラスには山下さんという女の子がいて、
なんと顔がデレクにそっくりだった。
山下さんはウマ顔で、しかも
ベイシティー・ローラーズのファンで、
休み時間になると、デレクに似た山下さんは、
ファン心理を熱く語っていて、それが あたしには
デレクがメンバーを語る様子に だぶってしまい、
あたしは悪いと思いつつ、言ってはいけないと思いつつ、
どうしても腹の中に納められず、つい本人に言ってしまった、
「山下さんて、デレクに似てるなァ」
山下さん、カンカン!!! 怒るとまさに顔がデレク!!!
「女の人に、デレクはないわ! 失礼やわ!」
真っ赤な顔で怒りまくり!!! 火山大噴火!
山下さんの怒りは何日か後になってもおさまらず、
それっきり、あたしとは疎遠になってしまった。
口は災のもと、落ち込むあたし。さらに驚いたことに、
それまで優等生で通っていたらしい山下さんが、
なんと、あたしの軽率な「デレク発言」以来、
坂道を転がるようにヤンキー道を まっしぐら。
真っ黒の口紅を愛用していた山下さんは、
デレクから悪役プロレラ-へ変身、
それを見た あたしは またしても、
「わぁ、山下さん、レスラーに転身?」
と口から飛び出しそうになったが、
同じ失敗を繰り返してはならぬと、必死で思いとどまった。
山下さんの運命を左右してしまった あたしは、
それ以降、同じ過ちを繰り返してはならんと
自分を度々 戒めたが、性分であろう、あまり効果はなく、
今日まで口の悪さで失敗ばかり。
でこよ、この間会ったときにデレクの話をしたのは、
ヴァンヴァンの映画を見て、デレク事件を思い出したからじゃ。

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