いま、朝6時20分


まだ外は真っ暗ですが、2月なのに暖かいですね



今日は現場を見られないので、昨日、休日出勤をして


現場の確認をしてきました。



作業は順調に進んでいて問題はなかったのですが、


構造体が見えてくるにつれて本格的な調査が始まります。



柱の位置


梁の大きさと位置


筋かいの本数


基礎の状態


傷んでるところ


シロアリ被害


水による腐り



などなど、いろいろ見えてきます。


物件は昭和後期の建物なので既設構造体に多くは期待していません。


上記に書いたことのほとんどが「あらら」になってる場合が多いので


そこは想定内、リノベしていく中で補強するので大丈夫です。



ところが今回は「あらら」がほとんどありませんでした。


とてもきれいな状態でした。



が!



一番アカンやつを見つけてしまいました、、、



写真赤丸の梁にどんな問題があるかわかりますか?




赤丸の中の真ん中、梁のちょうどど真ん中の下端が


大きく欠きこんでありました。



天井下地をするためだったのかもしれませんが、


ココは大きく欠きこんではいけないところ、、、





点線は梁がまっすぐな状態ですが、


上部の部屋の荷重や梁本体の自重でもいずれは梁が垂れてきます。


梁の長さは3メートルほど。


年数が経つとその中央が一番大きく垂れてくるのですが、


上から力がかかるので、梁中央の下端が一番力を受けます。



その一番大切なところに大きな欠きこみがあるので


ここから割れてしまう可能性があります。


さらに、欠きこみの真上に上部床を支えるための


根太を取り付けるための欠きこみもあるので


私は実質的な断面欠損とみなします。



となると、、、




本来21センチほどあるはずの梁が実質10センチほどしか使えないことになります。


今まで2階の床荷重を実質10センチの梁で支えていたわけです。




フルリノベーションで最も難しいことは


気づくこと




知識と経験がなければ


問題のない欠きこみなのか、


それとも問題のある欠きこみなのか気づけない。


そもそも欠きこみ自体に意識がいかないでしょう。



柱、梁などの構造体に欠きこみを作る場合、


力がかかるポイントを避けて設定します。


でも、それも構造力学を意識していないとできません。




構造力学って、とても難しく感じるかもしれませんが、


算数の話じゃなくて力の流れさえ見えていれば


ある程度は想像できます。



逆に一級建築士でも力の流れがわからない人には


現場を見ても何も気づけないです。


「え?一級建築士なら気づけるんじゃないの?」と


思うかもしれませんが、


構造設計と設備設計に関しては専門性が高くなるため


一級建築士を取得後に実務経験を経て取得可能な


構造設計一級建築士、設備設計一級建築士が設定されてあるくらいです。



私も力の流れは最初はサッパリでした。


なにがサッパリって、構造力学の計算と現場がシンクロしないんです。


計算自体はできます。泣きながら勉強しましたので 笑


だけど、例えば上記のような事を現場で見つけたとしても


たくさんある計算式の中で、


どの計算式を使って安全を確かめたらいいのかがサッパリ?!でした。



それが理解できるようになるためには力の流れが理解できないと無理なんですよね。


そして、理解できると現場での問題点も気づけるようになりました。




こればっかりは構造計算をもとにした実務を


何年も何年も繰り返してやっと理解できるもので


経験から言っても一年や二年とかでは到底ムリです。


一年や二年では全てのケースを経験できないので。



ということで、この梁は補強確定で、お客さまに理由と対策をお伝えいたします。


天井高さが高くないので、梁を補強して大きくなったときには


設定している天井高さが確保できないかもしれないので注意します。


フルリノベーションは新築とはまた全然違うところに

ポイントが隠れているので現場管理がとても大切ですね