なかなか冬らしい冬になりませんねー

 

ここのところフルリノベーションのご相談をよく受けています。

 

 

フルリノベーションを施工するにあたって、一番大切なことは

 

構造を読み解くこと

 

 

 

構造に対する知識と経験がないと壁や柱を抜いたり入れたりできません。

 

 

 

その昔の増改築(あえてリノベーションとは言いません)は大工さんの経験のみで

 

柱や壁を抜いて補強していました。

 

また、平成12年の建築基準法改正までは金物施工も義務ではなかったので

 

金物も今のように種類が豊富ではなかったし、

 

現代と比べるとだいぶん違います。

 

 

 

そして、今の時代、構造計算が当たり前のようになっていますが、

 

実は、一番の問題なのは構造計算をしているかどうかではなく、

 

「構造計算をいかに現場で正確に施工するか」

 

なんです。

 

 

構造計算書は普通の木造二階建てで550ページくらいあります。

 

その中のほとんどが計算過程で、計算結果としては少ないのですが、

 

まず構造計算書が読み解けなければ現場では活かせません。

 

 

一番ダメなのは「構造計算はしてあるけれど現場がその通りになっていない」

 

なので、計算書のどこをどう見ればよいかがまずは大切です。

 

 

 

そして、計算書が読み解けたとして、

 

今度は「計算書と現場との乖離をどう判断するか」が大切になります。

 

 

例えば基礎の配筋が計算書では4本の鉄筋を入れるような結果になっていても

 

実際の現場では4本入らないなんてことは10軒中10軒といっていいくらい

 

ごく普通にあります。


 

基礎は鉄筋コンクリートですからコンクリートと鉄筋が最大の力を発揮してこそ

 

強さを発揮します。

 

強さを最大限に発揮するためにコンクリートが

 

きちんと鉄筋同士の間にも充填されるように建築基準法で鉄筋同士の間を

 

どれくらい空けるかなどの規定があるのですが、それを満たそうとすると

 

現場では収まらなくて上記に書いたように計算書と実際の現場の乖離が起こります。

 

 

そんな時は再計算の上での対策が必要になるのですが、

 

もしも建築基準法の規定を知らなかったら何も気にせず4本施工するでしょう。

 

「計算書に書いてあるんだからその本数を入れておけばそれでいいだろ」と

 

知識のない現場監督なら簡単に判断します。

 

 

 

また、耐力壁を増やすということは良いことと思うかもしれませんが、

 

実は危険側の判断になることも多々あります。

 

image

 

赤が家の重心、赤い点の右側に少し離れた位置にある緑の点が剛心です。

 

 

重心とは、簡単に言うと平時の家の中心で

 

剛心とは地震などで家に大きな力がかかった時の中心のイメージです

 

 

この二つが離れすぎると地震などの時に家が大きく揺れますので

 

建築基準法で重心と剛心との距離の規定があります。

 

(緑のシート部分が規定範囲内)

 

 

 

耐力壁を作るということは言い換えると、

 

大きな力を受ける壁を作るということ。

 

すなわちそこには大きな負担がかかっているということで、

 

例えば家の片側だけに耐力壁が集中すると剛心が大きくずれます。

 

なので、ただ壁を作ればいいというものではなく、

 

バランスがとても大事。

 

 

 

でもそれを知らない、もしくは経験が浅いとその感覚がないので、

 

再計算が必要かどうかの判断すらできません。

 

 

 

フルリノベーションはとても流行っているし、

 

物件を安く手に入れてフルリノベーションをすることはとても経済的でもあるので

 

私自身もお勧めですが、知識と経験のない会社にお願いするとそれは

 

フルリノベーションではなく、ただの模様替えにとどまってしまうので

 

注意が必要ですよん。