今日のCスポの1面に報道されたから、もう書いてもいいと思うが、教え子のS君が来月結婚する。新婦は大学時代に知りあったN子さん。結婚式には喜んで出席させてもらうつもりであったが、彼の進路妨害をしたバカボンが来賓として出席し祝辞を述べると聞いたので、出たくなくなった。S君に電話してそのことを話した。
「すみません。親父が頼んだみたいなんです」
「U(バカボン)は高校時代に君の進路を妨害した張本人なんだよ! 1月の激励会は我慢したけれど、今度は耐えられないな。申し訳ないけど、僕は出席できない」
「待ってください。先生がいなければ、僕と彼女は出会うことはありませんでした」
「関係ないよ」
「大学4年の6月に彼女と出会いました。僕は先生のおかげで大学に入れたわけですから、先生がいなかったら、僕が彼女と出会うことはなかったんですよ。だから僕も彼女も先生には絶対出席してほしいんです」
「僕はUだけは絶対に許さない。君の大学進学だけじゃなく、君のプロ入りまで邪魔しようとしたんですからね。しかもあいつは君だけじゃなく、君の後輩たちにも進路妨害をして、夢を諦めさせているんですよ。君は僕やTさん、M大学のA先生の尽力で大学へと進学することができたし、プロ野球の世界に入ることができたけれど、他の子たちはみんなMC大学へと押し込まれたんじゃないですか。そして挙句の果てに倒産。ふざけるな、生徒たちの人生を何だと思ってるんだ! 君が幸せになるのは嬉しいけれど、僕は君だけの先生じゃありません。Uのせいで夢を諦めた子たちも僕の可愛い生徒です。その子たちのことを考えると、Uがやって来て心にもない祝辞を述べるのを聞いて、僕が平静でいられるわけがないでしょう。暴れるかもしれないぞ! それでもいいの?」
「先生、すみません。本当に親父は勝手なんです。許してください。お願いします。出席してください」
「お父さんには商売もあるからね。商売仲間のKやOがU学園と関わりを持ちたいんだろ。だからお父さんを唆したんだろう。見え透いている。だけど、Uはもう終わりだよ。名古屋の伯父さんからも早晩見放される。職員たちで彼について行く者はいないだろう。落ち目のUに取り入ったってムダだよ。S君、申し訳ない。今回だけは君の頼みは聞けない」
大人げないことは十分承知しているが、僕にはこのような生き方しかできない。S君、どうか幸せに。君が引退し、鬱陶しい奴らが君の周りから立ち去った時、ゆっくりと会おう。
