
ちなみに、まだ改正はおろか、国会審議もやってないけどね(笑)
もっとも直截簡明で緻密な民法改正が大事なので、「早い」とか「遅い」とかはどうでもいいのだ。
まずは「第6章 民法の現代化」におけるいくつかの説明。
●約款、サービス契約
約款の問題提起は、別書『制度的契約論』にも見られる。
・約款と契約内容の差異の問題
・約款の拘束力の問題
・開示義務の問題
・約款の内容変更の問題
他方、本稿のサービス契約では、上の別書と違い、誤振込の問題が中心。
ただ、現在サービス契約の大部分は準委任(民法656条)が適用されているが、サービス内容の多様化・複雑化が生じている今日どうなのか、サービス契約(役務提供契約)という法律上の契約類型を加えるべきではという問題提起は共通してる。
ちなみに、上記の提起は
「準委任を適用すると、委任の理論的性質上、サービス提供者・受領者いずれの場合も自由に解除できることになるのでは」という純粋な解釈論からなされたもの。
●自然災害と契約法
今年、損害賠償の算定問題と同じく、学界や学術雑誌で話題になっていた分野。
問題点だけ挙げると、
・消滅時効の停止制度の問題(民法161条)
・遅延損害金の賠償責任の問題(民法419条3項)
・事情変更の原則の明文化の問題(契約改定の問題)
個人的には、会社法の「株主平等原則」みたいに、事情変更の原則も明文化して、具体的な適用問題は判例に委ねるのが良いのではないかと感じる。
●最後に…
先ほど紹介した『日本のローファームの誕生と発展』でも言及されていたが、「日本法が準拠法として適用されない」のがわが国の法的課題であると の認識を、我々は深く持たなければならない。日本の渉外取引業務を考える上で差し迫った問題である。ところで、こうした問題は、法制審議会を中心に、今後 の民法改正問題でも重要なテーマとなるが、民法を改正する役割を担う立法府の先生方が、与党・野党を問わず、この問題を認識しているか否かが、いかんせん法律関係者の間でしかニュースにならないテーマだけに、何とも分からないのが残念である。