先日、知り合いの社長さんから相談がありました。

「うちの社員は、ただ仕事しているだけでお客さんに提案して仕事を新たに作り出すことができない。何が原因?どうしたら良い?」というものでした。
その会社は、以前、私がコンサル的な立場でサポートしていたのですが、その時も大きな課題として社長さんは頭を抱えていました。その後も全く変化が無いようでした。

この「提案ができない」という状況、原因は大きく二つ考えられます。
一つ目は、そもそも提案などする気がないということ。
日々、決まった仕事を繰り返しているのが楽だから、それに浸っていたいという状態です。これは、仕事と言うより作業ですね。決まった時間に出社して、決められた作業をつつがなくこなし、時間が来たらおウチへ帰るというパターンです。ある意味幸せかもしれませんが、私はすぐに飽きてしまいそうですし、なんか太りそうです。

そして、二つ目は、提案の方法が分からないというものです。
「そりゃ、できれば自分だって提案の一つぐらいしたいさ、だけどどうやったら良いのかが分からない」というケースです。私は、意外にも(?)こちらの理由の方が多いと思っています。提案という言葉って実に幅が広いものです。道具を使うわけでもないし、書類の所定の欄に記入したから成立するものでもありません。しかも良い提案となると、ますます意味が分からなくなってきそうです。

私は、提案ができる人とできない人の違いは「法則」にあると考えています。
まず、提案ができない人というのは、身の回りに起きるさまざまな事象から法則を編み出すことができません。どんな事柄に対しても、いつも漫然としてしまい、単純に右から左へ受け流すことしかしていません。
一方で、提案ができる人は、そうした身の回りの事象から法則を編み出すことができます。さらに、提案ができる人は、自分の中にいろいろな法則を増やして自分ライブラリーを作る努力をしています。つまり、あらゆる事象に対して常に観察、分析の目を持って、原因や解決策、予防策を考える姿勢が身についています。
その結果、お悩みを抱えた人に対して、自分ライブラリーの中からピッタリな、あるいは一番近いであろう法則を選び出して、原因を明らかにした上で解決策や予防策を示すことができるようになります。

これがいわゆる「提案」ということです。
さらに、その提案が相手にとって本当に最適なもので、最短且つ完璧に解決、予防が図られれば「良い提案」だったということになるわけです。
つまり、その場で問題点や相手の状況だけをいくら考えても、提案はなかなかできるようにならないということです。日頃から常に法則を編み出す目を持って、物事に取り組むという蓄積が必須になります。今すぐ目の前に提案する必要性がなくても、また将来的にあるかないか分からなくても、いつも編み出す目を持っていなければならないということです。

したがって、提案しろ!提案しろ!と社員や部下に口うるさく言っても、その問題自体が解決することはありません。だいたい強制された仕事ほどロクなものはありません。もっと根本的な原因を考えて、日頃の姿勢から変えていかなければなりません。今回ご相談をいただいた社長さんに、そのあたりのことを「提案」したいと思います。