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1 フォロー講義
憲法の「特質」として、次の3つがあります。
①自由の基礎法
②授権規範・制限規範
③最高法規性
憲法は、国家権力に一定の権限を授けると同時に、国家権力を制限することによって
国民の権利・自由を保障する特質を有しています。
国家権力を制限して、国民の権利・自由を保障するために、憲法は、国家権力を、立
法権・行政権・司法権に分立し、互いに抑制・均衡をさせています。
過去の歴史を眺めると、いつの世でも、人権侵害の最たるものは、不当な逮捕・監禁・
刑罰権の行使や高額な課税など、行政権による人権侵害です。
そこで、統治システムにおいては、国民の権利・自由を保障するため、行政権に対す
る民主的コントロールという「視点」が重要になってきます。
憲法は、国民の権利・自由を保障するための仕組みとして、立法権・行政権・司法権
という統治手段を規定しています。
人権保障(目的)→統治(手段)
一方、行政法は、上記憲法の定める基本的価値を具体化するために、特に、行政権
に対する民主的コントロールという「視点」に焦点を当てています。
行政権に対する民主的コントロールという「視点」で最も重要な原則は、行政権の行使
を、国民の代表者である国会の制定する法律に基づかせることです。
法律に基づく行政の原理
このように、憲法と行政法は、国民の権利・自由を保障するため(「目的」)に、国家
権力をどのようにコントロールしていくのかという「手段」について考えていくという点
で共通しています。
目的→手段のフレームワーク
受講生の皆さんも、憲法と行政法を全く別の科目としてとらえるのではなく、目指す
目的(人権保障)は同じであるという認識で、講義を聞いてほしいと思います。
2 復習のポイント
① 法の下の平等(2) Unit11
まずは、テキストp55の国籍法違憲訴訟について、①目的→手段のフレームワー
クと②時の経過論を使って、判例のロジックをよく理解しておいてください。
≪憲法14条の判例分析のフレームワーク≫
①目的→手段
②時の経過論
判例は、「事柄の性質」に着目して判断していますので、本判例の「事柄の性質」
をよく理解しておいてください。
「事柄の性質」
次に、テキストp58の女性の再婚禁止規定一部違憲判決について、14条ととも
に、婚姻をする自由(憲法24条1項)に対する制約の視点から、判例のロジック
をよく理解しておいてください。
キーワードは、「直接的な制約」ですね。
本判例は、旧民法733条1項が、婚姻に対する「直接的な制約」であるという「事
柄の性質」を、違憲判断を導く要因としています。
② 参政権 Unit12
まずは、テキストp65の衆議院議員定数不均衡訴訟について、ポイントに書かれ
ている、3つのフレームワークに沿って、もう一度、判例のロジックをよく理解してみ
てください。
判例のロジックがよく理解できていれば、p70の図表の違憲と違憲状態の違いが
よくわかると思います。
長めの判例を読むときは
段落ごとに、要旨をまとめながら読む、パラグラフリーディングの手法が使えると思い
ます。
パラグラフリーディング
次に、テキストp71で、参議院議員定数不均衡について、衆議院議員定数不均衡
訴訟との比較の視点から、判例を理解しておいてください。
判例と判例の比較
最後に、テキストp73で、被選挙権の憲法上の位置づけについて、知識を整理して
おいてください。
③ 思想・良心の自由 Unit13
まずは、テキストp76の君が代ピアノ伴奏拒否事件について、三段階審査のフレーム
ワークを使って、判例のロジックをよく理解してみてください。
次に、テキストp77の国歌起立斉唱拒否事件について、三段階審査のフレームワー
クを使って、判例のロジックをよく理解してみてください。
最後に、2つの判例を、三段階審査のフレームワークを使って、比較しながら、両者の
ロジックの違いを、もう一度、確認しておいてください。
キーワードは、「間接的な制約」ですね!
2つの判例は、本試験では未出題の判例ですので、要注意です。
④ 信教の自由・政教分離 Unit14・15
まずは、テキストp80の剣道実技拒否事件について、これまでの判例とは異なる
判断枠組み使って、判断していることを理解しておいてください。
この剣道実技拒否事件の判断枠組みである、判断過程審査は、行政法では、頻
出している重要テーマですので、行政法の講義の中で詳しくお話していきます。
このように、同じ判例が、憲法では、信教の自由の判例として、行政法では、行政
裁量の判例として、登場します。
なお、憲法と行政法では、同じ判例が「視点」を変えて、至るとこで登場します。
例えば、
①マクリーン事件は、
憲法なら外国人の「憲法上の権利」、
行政法なら行政裁量
②猿払事件は、
憲法なら公務員の政治活動の自由、
行政法なら委任命令
③津地鎮祭事件は、
憲法なら政教分離、
行政法なら客観訴訟(民衆訴訟)
第二に、テキストp82のオウム真理教解散命令事件について、三段階審査フレー
ムワークを使って、判例のロジックをよく理解してみてください。
ここでも、キーワードは、「間接的・事実上」の制約ですね!
第三に、テキストp85の津地鎮祭事件について、目的・効果基準に着目しながら、
判例をよく理解してみてください。
この後出てくる政教分離に関する判例は、この目的・効果基準を使って、政教分離
違反となるかを判断していますので、まずは、リーディングケースをよく理解してほし
いと思います。
第四に、テキストp88の愛媛玉串訴訟について、目的・効果基準を使って、違憲判
断を下した判例であることを、もう一度、確認しておいてください。
第五に、テキストp89の空知太神社事件とp92の孔子廟政教分離訴訟について、
目的・効果基準を使わないで、違憲判断を下した判例であることを、もう一度、確認
ておいてください。
⑤ 表現の自由(1)Unit17~20
まずは、テキストp97で、表現の自由の保障根拠である、①自己実現の価値と②自
己統治の価値と、2つの判例をリンクさせて、三段階審査のフレームワークの保護範
囲の視点から、問題となっている自由の要保護性について、判例の保障の程度をよく
整理しておいてください。
表現の自由は、
択一式では、あまり出題がありませんが、何回も繰り返し出題されているのが、
この保護範囲に関する判例の知識です。
第二に、テキストp103で、事前抑制と検閲の関係を理解した上で、札幌税関事件と
教科書検定事件の判例のロジックをよく理解しておいてください。
教科書検定事件については、令和元年の試験で、判例のロジックをきちんと理解して
いるかどうかを問う問題が出題されていますので、もう一度、過去問を検討しておいて
ください。
第三に、テキストp108で、内容規制・内容中立規制二分論について、三段階審査の
フレームワークの制約と正当化の視点から、両者の違いをよく理解しておいてください。
内容規制と内容中立規制については、
平成2年度の本試験で出題されていますので、両者の違いを、問題42を使って、よく
理解しておいてください。
第四に、テキストp118で、内容中立規制に関する2つの判例(吉祥寺駅構内ビラ配
布事件と立川反戦ビラ事件)について、表現の自由と財産権・管理権の優劣の視点
から、判例のロジックを、よく理解してみてください。
伊藤正己裁判官のパブリックフォーラム論は、過去問にも出題
されていますので、もう一度、判旨を読んでおいてください。
なお、憲法判例の分析の方法論については、
以下の無料公開講座の動画も、是非、参考にしてみてください。
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