兄上様。

 

今日、良いことがありました。

 

長い間、世話になっている。

 

肺炎に倒れた先生が、診察室の机の前の椅子に座っていたのです。

 

顔と声と指、体もとても細くありましたが。

 

笑うときに細める目は、健在でした。

 

1か月会わず、その後1か月目に若い医師が診察を行い。

 

机の横でこちらを見ながら、椅子に座り動くことや立つことをしなかった。

 

その日、私は敢えてしないこととできないことのどちらだったのかと。

 

家に帰ってから考えて、立ち尽くしていました。

 

ひたひたと寄せてくる不安を、やわらかい布で包み込みたいと望みました。

 

「先生は、生きる。戻る」。

 

それは願いではなく、祈りでした。

 

ありがとうございます。

 

兄上様。

 

お父様の元へ、先生を連れて行かなかったことに感謝します。