先日のヒゲの先生の回顧展で、
入口近くに掲げられていたこの小作品に、目が吸い込まれました。
2007年作と裏書のある「タクラマカン 残月」と題されたこの作品!
これぞ先生、
砂漠に刻まれた足跡と青い空に残る月!!
幾度となく先生から伺ったタクラマカンの景色や厳しい自然、
そして日本のものとは似て非なるというシルクロードの砂の織り成す原、
そこに刻まれた足跡はどこへ続くのか・・・
大きな作品は私ではとても手が出せませんし、何より我が家では飾る所もありません。
先生にしては珍しいこの小さな作品は、
私の所にちょうど納まるように展示されていたのかと思うほど。
もう一度よく考えて、
そしてその夜、私の所にお迎えするよう話がまとまりました。
そしてその作品を、
奥様と回顧展を主催なさったお嬢様とがお揃いになってお持ちくださいました。
そして、またまた長話しちゃいました(笑)
色んな思い出話を・・・
一緒にお持ちくださったのは、これも足跡の版画。
ドイツでのお嬢様との二人展の時に関係者に配られた作品だそうです、光栄です。
そしてもう1点、昨秋、私が奥様にお渡しした先生最後の作品を。
書初めとして書いてくださったこの半紙作品は、先生の作品意図の解説を伺えないまま。
これを書いてくださったその直後に入院、
そして一旦帰宅されましたが又すぐに入院なさって、そのまま旅立たれたのでした。
私は額装し、奥様に最期の作品としてお持ちくださいと申し上げたのですが、
「これは、のりちゃんのために書いたものだから」と、
私に持っていてほしいと言ってくださって・・・
そうです、この日、痛みでご機嫌斜めだった先生に、
「書初めを書いてください」とお願いして私の筆と墨で書いてもらった作品なのです。
お言葉に甘えて、この作品を私の元に。
有難う存じます。
そして我が家の玄関には、「樹間」と題する油の作品も。
そうそう、私の骨折した時にギプスに描いてもらったこんな作品も大切にとってあります。
コロナ禍、骨折入院している私に
面会にお越しくださった先生と受付係との押し問答の時に丁度私がその場を通りかかり、
病院内コンビニ横の休憩スペースで描いていただいたもの。
お土産に持ってきてくださった蜜柑を中に入れれば、
色付く蜜柑山とはるか向こうに海が見えると。
他にもたくさんあるんですよ、先生から頂いた物が。
物だけでなく、たくさんたくさん、いろんなことを教えていただきましたっけ・・・
昨年5月27日早朝の奥様からのメールで知った先生の死は、青天の霹靂でした。
きっとまた復活なさると信じていましたから。
今でもまだ、蜜柑をポケットに忍ばせてお越しくださる先生の姿を感じるのに。
・・・明日は一周忌です。
「周」。
「田の中いっぱいにある米の形」+「口」印の会意文字で、
欠け目なく全部に行き渡る意を含みます。
また、「口」印は口ではないという説もあり、
四角い領域を示し全部に満遍なく行き渡ることから、
どちらの解釈であっても、周囲の意となります。






