霊 | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
よろしかったら、画像をクリック、拡大して、筆勢などをご覧下さい。

 

 

 

今年1月、私たちの書のお稽古日に、

 

丁度同席してみえた故ヒゲの先生にも書初めをお願いしました。

 

画家でいらっしゃる先生、

 

そしていつも何かメッセージを織り込んで作品制作をなさる先生だから、

 

私たちとは一味も二味も異なる書初め作品を書き上げてくださいました。

 

 

 

 

しかしこの時、先生は相当な腰の痛みを感じていらっしゃったはず、

 

この二日後に圧迫骨折していることが判明、入院となったのでした。

 

2か月近くの入院の後、一旦退院なさり暫く自宅療養、

 

その間の5月の連休には私は先生をお見舞いしましたが、

 

再度入院、それからおよそ半月後の5月末にご逝去されてしまいました。

 

誰もがまたの復活を信じて疑いもしていなかった上での急逝のため、

 

結局、この書初め作品は先生最後の作品ということになり、

 

私は作品奉納神社に掛け合って、

 

この作品を展示後に下賜いただき、額装することにいたしました。

 

それがやっと出来上がってきたのがしばらく前。

 

そして本日やっとその作品を、先生のご自宅にお届けしたという経緯です。

 

 

 

 

ずっとずっと、今年中に作品をご自宅にお返ししたい、そう思い続けていました。

 

それが先生の霊魂がご家族に見守られて安寧になることだと思っていましたから。

 

今日やっとそれができ、

 

大袈裟だけど、本当に一つ肩の荷が下りたような気がしています。

 

奥様は涙を浮かべて作品に見入っておられました…

 

 

「霊」。

 

本字は「靈」。

 

「霝」は「雨」+「〇:水たま」×3を合わせた会意文字で、

 

連なった清らかな水玉を示し、「零」と同じです。

 

「靈」は「霝」+「巫:みこ」で、神や魂に接する清らかな巫女のこと。

 

転じて、水玉のように冷たく清らかな神の力や魂をいいます。

 

「霊」はその略字です。

 

「霊」には他に「霛」「䨩」「灵」「㚑」がありますが、

 

そのうち「灵」は、中国において「霊」の簡体字として用いられています。

 

 

 

本日に備え、奥様は山のみかんやシークワーサーを準備しておいてくださいました。

 

有難うございました。

 

 

 

 

いつも先生は冬になると、同窓会館にみえるたび、

 

「これ、今採ってきたばっかりや、いっち番上手いのを採ってきたでな、早よ食べよ」

 

と、ポケットから数個蜜柑を取り出してくださいました。

 

そう、去年の今頃も、まだそんな感じだったのです・・・

 

奥様は、蜜柑山の手入れが行き届かず、

 

蜜柑が傷だらけであることや、シークワーサーも皆黄色に色づいてしまっていることなど

 

随分気にしていらっしゃいましたが、それは仕方のないこと、

 

・・・それだけ今まで先生が手を入れていてくださったのだと

 

一層悲しみも深まったのは事実ですが。

 

 

 

ここ何日か、顔も腫れ、熱迄出してしまっていた私でしたが、

 

上手く今日は腫れもひき、熱も下がり、

 

その上今日は一つ肩の荷が下り、元気が出てきました。

 

先生のお宅からの帰り道、買い物で立派な鰈を奮発しました。

 

 

 

 

滋養があるからと、

 

子供の頃は風邪をひいた時だけ食べさせてもらった鰈の煮付け。

 

今日は特別、お皿からはみ出るような鰈を主人と一尾ずつ。

 

今日もまだ心配だと、私を送り迎えしてくれましたから。

 

煮汁を多めに作りました。

 

その煮汁を使って、明日はヒゲの先生の大好きだったおからの煮物を作りますね!