殿 | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
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7月殿(しんがり)の本日も、蝉の啼き声で目覚めました。

 

5時を回ると蝉が啼き始めます。

 

やはり今月、特に後半はちょっと自分を見失うことが多かった気がします。

 

ハイペースの毎日だからこそ慎重にならなければならないはずなのに

 

失敗を重ねてしまいました。

 

地区の祭りが無事終わるまではもう少し頑張らねばならないけれど、

 

少しじっくりと身構えなくちゃ。

 

さてと、今夜のテレビ、鎌倉殿の動きや如何にと新聞テレビ欄を見ながらこの字を。

 

 

「殿」。

 

左部は「臀(デン:しり)」の原字で「尸:からだ・しり」+「兀:こしかけ」+「冂:台」の会意文字。

 

大きい尻をずっしりと台上に載せたさまを示します。

 

「殿」はそれを音符とし「殳:動詞の記号」を添えた字で、尻を鞭打つこと。

 

ただし、その音符は元ずっしりと重い意も含んでいるので、

 

「殿」は、ずっしりと土台を構えた大きい建物の意に転用され、

 

また、尻は人体の後部にあるため、しんがりを務めるの意にもなりました。

 

 

一昨日、ヒゲの先生の奥様から、忌明けのお印にと色紙が届きました。

 

 

 

 

先生は生前、毎年末に翌年の干支の色紙をお描きになって

 

親しくしている多くの方に配ってくださっていました。

 

私も毎年いただいて、その数は随分多くなっています。

 

 

頂いている色紙の中から各干支1枚ずつ

 

 

ですが、昨年末は秋の個展のお疲れがたまり描くことができないまま今年になりました。

 

だから、毎年の干支色紙を待っている方々から、

 

催促やら健康状態を心配する声やらが届くと、先生は自らお話になっていたのです。

 

とうとう今年の干支色紙は頂けないままで、

 

中には一回り前、つまり12年前の寅の色紙を飾っている方もあったと聞いています。

 

そしてついに5月末、先生はお亡くなりになり、

 

先生の干支色紙は打ち止めとなってしまいました。

 

 

 

畳紙を開けると、そこには寅の色紙がありました。

 

 

 

 

一回り前、二回り前、三回り前の寅がありました。

 

そしてサイン・・・

 

私は、三回り前の寅の色紙は頂いておらず、初めて見ました。

 

 

今年5月5日、先生が我が家にお越しになった時に見て行かれた今年のウチの干支額。

 

 

 

 

この寅は讃岐の和菓子に掛けてあった熨斗紙をそのまま飾ったものですが、

 

その時先生に、

 

私が「先生、早く描いてください、今年の干支色紙、待っていますから」と言うと、

 

「もうちょっと待っとれ、じっきに描いたるわ」と笑って交わした言葉も思い出されました。

 

 

入れ替えました。

 

 

 

 

 

 

左下12年前の題は「虎視眈々」、

 

赤い点をじっと見つめ窺うんだ・・・と言ってみえました。

 

右上24年前の時には、

 

この寅と目が合う位置があるはずだから、それを探せ・・・と。

 

先生のご冥福をお祈りしますとともに、

 

その時々のお言葉を噛みしめる一時です。