弥 | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
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弥生3月雛の月は雨で明けた。

冷たい研ぎ澄まされた朝の空気も大好きだが、

春の訪れを感じさせる こんなしっとりとした朝も、日曜ならではの寛ぎを醸し出す。



名のみの春から本番へ。

命の躍動を期待し、喜ぶ気持ちの込められた「弥生」。

私は「弥」の字が好きである。


「弥」。

『説文解字』には、正字は「镾」で、「镸:長髪の人の形」+「爾:女性の文身を表す字、美しい意」からなり、

もとは髪の豊かで美しいことを言う字であるとあります。

が、白川説においては「弓」+「爾」の「彌」が元の字であると考え、

「弓」においては魂振りの儀礼に用いる弓であるとの解釈を加えています。

両者共に字義は長命となり、その点においては合致しています。

また、「弥」は「彌」の俗字で一般にはこちらが通用し、

わたる・広く端まで行きわたる・いよいよ・遠く伸びていつまでも程度が衰えない様子等を表します。


大好きなこの字を、本日は薄墨で。

一等お気に入りの印を添え、印泥は明朗で鮮やかかつ深い朱である箭鏃(せんぞく)を。


春は芽吹く季節。

儚げな細かなものが太陽の力を得て伸びてていく季節。

私は早速アミエビを。



桜エビと行きたいところだが、懐の紐も固くしなければならない主婦としては余談の無い選択。

が、これが結構美味しい。

レパートリーもそう多くない私は、まずは紛うことなく かき揚げ。



新玉の甘味に香ばしさが加わって、熱々食べればホッペが落ちる。

春らしく、新ワカメと胡瓜の胡麻マヨネーズの上にも釜揚げアミエビをパラパラと。

A5サイズぐらいのパック1杯約300円だったアミエビ、もう1パック買っておけば良かったと後の祭り。


本日の雨を恵みの雨として、弥栄(いやさか)の春を言祝ぐ。