
寒風吹く睦月の空は、見上げれば灰色が広がる。
寒さを一層掻き立てる 重くて冷たい空の色だ。
「灰」。
「又:手」+「火」で、手で燃えカスの はい を拾い出しているところを表します。
薄黒い燃えカスのこと。
この寒空だけど、近くまでのちょっとした用事なら自転車が手っ取り早い。
愛車を駆って桜堤をとばす。
冬枯れの木立の合間から覗く空は鈍色。
曇よりと薄暗い。
手袋をはめていてもまだ手が冷たい。
マフラーに顔をうずめて ひた駆けた。
ふと見つけた白い花に気持ちが綻ぶ。
寒空の下でも背筋をピンと伸ばして可愛い花を咲かせている。
水仙の香りに包まれ気持ちの笑んでいるうちに、てきぱき用を済ませてしまおう。
息せき切ってペダルを漕いで又ひた駆ける。
見上げた空はやっぱり灰色。
おや、ようやく見つけた雲の切れ間。
ああ、青空が顔を覗かせている。
たったそれだけのことなのに、気持ちがさっと晴れやかになる。
さあ、家までもう少し。
冷たい中を自転車駆って家に戻ると案の定、鼻の頭が真っ赤っか。
あー、忘れてた。
恥ずかしいのよね、鼻の先が赤くなっていて。
あったかコーヒーカップで手を暖めながら、まだ冷たい右の指で急いで鼻先を冷やしてやった・・・



