揚 | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
よろしかったら、画像をクリック、拡大して、筆勢などをご覧下さい。




本日は秋分の日。

良い天気で、穏やか且つ爽やかな 秋の何とも心地よい空気だ。

ずっと以前は祝祭日には国旗を掲揚するお宅も多かったけれど、今では希少。

が、我がお向かいは、今も律儀に国旗を掲げる貴重なお宅である。



その国旗もだらりと下がる様子は 本日の穏やかさを物語り、これもまた良い風景だと拝見している。


さて、旗は旗でもなかなか面白い旗を、次男が我が家に持ち込んできた。

大漁旗だ。

今回、お嫁ちゃんの故郷でお世話になって誂えていただいたもの。

赤い地肌の木綿に染め抜いた鮮やかな波と鰹が威勢が良くて、この青空に映えそうだ。




夏に、突然、ちょっと字を書いてくれる?と頼まれ 書いた字がこちら。

方眼の紙に一字一字ばらばらに書くようにとの指示だった。




イージーオーダーのように、何種類かの図案の中から選んだ柄にこの字を入れていただいたという。

鯛ではなく鰹を選ぶところがお嫁ちゃんらしいなと思う。

あれこれ迷う彼女の姿を眺める次男の目は優しかったことだろう。

残念ながら船はないから、この旗を ベランダに靡かせようか。

高々と揚がる大漁旗を見れば、 気持ちもきっと揚げ揚げ 間違いなし!!


「揚」。

「昜」は「日」+「丅印:上にあがって高い所に達する」で、日の高く上がること。

後になって「彡印:もよう」を添えました。

「揚」は「扌:手」+「昜」で、威勢良く明るくあがること。

本日のタイトル書は大らかで雄大な「爨宝子碑(さんぽうしひ)」の雰囲気を盛り込んで。


実は我が家の壁面には以前から大漁旗が貼ってある。


                    

これはこれで賑やかで良いけれど誂えではない。

けれど今回の旗は染め抜き名前入り。

お嫁ちゃんが故郷 尾鷲の海のぬくもりをいつまでも感じていられるようにとの計らいが。

今後は次男の家に この鰹の旗が靡くことだろう。

いつまでも威勢よく、そう願う秋空の日だ。