転 | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
よろしかったら、画像をクリック、拡大して、筆勢などをご覧下さい。




5年前の同じ時期、

同じ三重とはいっても行ったことのない尾鷲という地に向けて荷物を載せて走った道を、

昨日は反対方向に同じ車で荷物を運んだ。

三重の南端 尾鷲から次男が四日市の近くに越してくる。



「お金もないから、引越し手伝って」・・・正直でよろしい。

親の私たちもあんまり余裕はないけどね。

でも、出来る限りはお手伝いするよ。

そんな風に声をかけてくれるのも、何だか嬉しい気もするし。

トラックは八百屋のよっちゃんに借り、力持ちの家族全員が揃ってのお引越し。

大きくて重い荷物は少なくて、
あとは我が家のバンと、息子の車に乗る程度。

男3人掛け声合わせてトラックに重い冷蔵庫や洗濯機を積み込んでいく。

私たちもダンボール箱を何度も何度も2階から車へ。

私は今日は筋肉痛よ。

娘は機敏で、今日もケロリと出勤していった。

準備が大変だったろうね、お嫁ちゃん。

でも、新しい生活への期待と一緒に 大変さも忙しささえも楽しんでいる様子が伝わってきて、

私は彼女の逞しさを頼もしく見つめた。


荷物を積み終え、お嫁ちゃんの案内で尾鷲の街で昼食と市内を一周。

途中、お墓のお父さんとおじいちゃんおばあちゃんにも挨拶して、

その後、お嫁ちゃんの大好きな場所 天満 から、存分に尾鷲の空気を吸い込んできた。





このよく陽のあたる地で、尾鷲の街を見下ろすのが好きだったという彼女。

「ここに一度案内したかったんですよ・・・」

そんな言葉が気さくで嬉しい。

少し行けば外海に出られる 山と海に囲まれた地。

潮風と傾斜地の街は狭いけれど、彼女はそこで十分にいろんなものを育んでくれた。

そして次男もこの地に育ててもらった。

私からも この地にお礼を言って、そして尾鷲を後にした。





たまたま出会った次男夫婦の友人が、車の中で食べていくようにとくださったデコポン。

スーパーの袋に飴まで詰め込んでくださった。

そういう地だね、尾鷲って。


5年前、あの年は早くも桜が咲いて、次の週には満開で・・・

車の中ではそんな思い出話をしていた。

今年も桜は ちらほら咲き始めている模様。

転居の春は慌ただしく巡っていく。


「転」。

旧体は「轉」。

「專=専」の原字「叀」は、吊り下げた丸い紡錘を描いた象形文字で、

そこに「寸:手」を加えた「專」は丸く回転する意を含みます。

さらに「車」を加えた「轉」は、車のように回転すること。

よって、ころがる・はこぶ・次々と移っていく の意。