粗 | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
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ちょっと行儀が悪いのだけど、頂き物のカステラは、まずは底をチェックする。

あった!!

底に見つけた粗目(ザラメ)の粒に、

テンション上々、早くお茶を淹れなくっちゃ・・・



「粗」。

「米」+「且:音符(ソ)として使用」で、元、ばらつくまずい玄米のこと。

『説文解字』に「疎(そ)なり」とあり、

まだ精製していなくてゴミなどの混じった米穀の類の あら米 をいいます。

そこから、あらい・おおまか・わるい の意となり、物についても人についても用います。


子供の頃には病気のお見舞いに頂いた時ぐらいにしか食べることのできなかったカステラ。

昔は皆 木箱に入っていて、蓋を開けると白いレースの紙が箱の口周りを縁どりしていた。

卵がたっぷり入った黄色い肌に木箱の香りが移り、

滋養たっぷり、大切に扱われる特別な 上等な お菓子だった。

上に載せた紙をはがすと こんがりとした焼き色のついたのカステラが顔を出し、

母がそれを切り分けてくれるのを固唾を呑みながら

ちょっとでも大きいのはどれかを探し見つめていた。

箱の底に残った茶色い部分を、フォークで綺麗に こそげ取るのも楽しみの一つ。

その頃のカステラは ほとんど例外なく底にザラメの粒が残り、

兄と奪い合ってジャリジャリとした口当たりを楽しみながら食べたものだ。

今でもその習慣は薄れることなく、

カステラの底の紙に残った茶色い縁を、残すことなくフォークですくう。


今回 長崎土産に頂いたカステラは、ザラメ入り。

やっぱりこれがなくっちゃね。

ふんわり もっちり カステラの、懐かしい思い出が次々と浮かぶ。