氷 | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
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心から


今一つはっきりしない空模様。


ギラギラ光る太陽の光はないのに、蒸し暑い空気に包まれて、


ジッとしていても汗がじんわり滲みだしてくる。


お盆の会計報告と半纏のアイロンかけは、厄介な夏祭りの置き土産。


今日中に済ませたいと、朝から格闘。


ご褒美にと、かき氷をご馳走して貰った。



「氷」。


元は、氷の割れ目を描いた象形文字で、これが「冫(にすい)」の形となりました。


「冰」は、「冫」+「水」で、「氷」はその略字。


水が氷ることを表し、こおりの意も含みます。



近所の店は、種類も少なく、みぞれ・いちご・宇治金時の3種類。


頼まなくてもミルクもかけてくれる。


私はいつも宇治金時。


ミルクの甘みと馥郁としたお抹茶の香りを味わったあと、


中に隠れたアンコに出会うのが楽しみで仕方ない。


近所の人の集うこの店は、中に入ると会話が弾み、


でも一度その中に入ってしまうと、そこから逃れるのが容易ではなく、


それだけが難。


だから今日のおやつは、お持ち帰りで主人と差向い。


こんな差向いも、中々乙な物。


あんまり急いで食べると頭が痛くなるし、グズグズしてると融けちゃうし。


加減を見ながら上手に食べる。


少し涼しくなったような感じは気のせいかしら。


さあさあ、今のうちに、残りを済ませてしまいましょう。



あのカチンカチンの氷が、ふんわりフワフワのかき氷に。


今じゃ電動のかき氷機だけど、


ずっと昔、手動で回したハンドルから生まれるかき氷のあの音が、


懐かしくてたまらない。


駄菓子屋のおばさんが、もうかけなくなった薄い氷を、「はい!」と手渡してくれた幸運を、


それを舐めながら、


シャカシャカという音と共に、


器にふんわりと降り積もる細かな氷の粒を眺めながら味わった記憶。


真っ赤なイチゴシロップをかけてもらう嬉しさ。


食べると口まで真っ赤になって、それが嬉しくて大口開いて見せ合って。


好みも変わり、機械も変わり、


でも、昭和のあの頃の、氷をかく音は色褪せない。