薹(とう) | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
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心から


蕗の薹(ふきのとう)。


春を知らせに顔を出す。


春の息吹をもたらすが、口に含むとほろ苦い。


待ち焦がれている春なのに、


そんなに急(せ)かすなとと諌められ、


じらされてるよな、かすかな苦み。



「薹」。


「艸:草」+「臺=台:高い台座」。


蕗などの野菜類の花のつく茎が伸び出たもので、花の台座のこと。



一雨ごとに春の気配が近寄るはずなのに、


今日の雨は冷たい。


雨は地上のすべてを濡らし、生命を育てる。


私の中の女も濡らし、


蝋燭の炎のように揺らし、


でも冷たく冷やす。


蕗の薹のほろ苦さが、まどろんだ脳を目覚めさせるように。


子供のころ苦手だった蕗の薹の苦み。


この苦みに魅かれるようになってきた。